研究科公開発表平成26年度

平成27年2月2日(月)、平成26年度 公開発表会が開催され、大学院2年生5名の研究が発表されました。それぞれの発表を紹介します。すべての研究は、関西医療大学倫理委員会の承認を得て、対象の方からの同意を得て実施されています。


「太白への鍼刺激が膝関節伸展運動時における大腿四頭筋の筋機能に与える影響-最大随意等尺性収縮40%強度による検討-」 生田 啓記

 

循経取穴を用いた鍼治療を運動器疾患へ応用するため、太白への鍼刺激が大腿四頭筋の筋活動に与える影響を検討した。健常者10名(平均年齢23.7歳)を対象に、膝関節伸展運動中に鍼刺激を実施した。運動課題は膝関節屈曲60°で最大随意収縮の40%等尺性収縮を鍼刺激前、置鍼直後、5分後、10分後、15分後に行った。鍼刺激課題は太白刺激、非経穴刺激、無刺激とした。課題中に内側広筋斜頭、内側広筋長頭、大腿直筋、外側広筋の筋電図積分値を求め、刺激前を基準値とした筋電図積分値相対値で比較した。太白刺激において、内側広筋斜頭の筋電図積分値相対値は、非経穴刺激、無刺激と比較して、置鍼15分後に有意に高値を示した。太白への置鍼15分後に内側広筋斜頭の筋電図積分値相対値が増加したことは、内側広筋斜頭の筋緊張を抑制したと考えられた。


「座位での側方移動時における座面の圧中心変位と体幹筋および股関節筋周囲筋の筋活動の検討」 池田 幸司

 

理学療法で用いられる座位での側方移動練習の運動学的特徴を把握するため、動作時の座圧と体幹筋、股関節周囲筋の筋活動を検討した。健常男性20名(平均年齢24.8歳)を対象として、座位側方リーチ動作時の座面の圧中心と、リーチ側の大腿筋膜張筋、中殿筋、大殿筋上部線維、大腿直筋、多裂筋の筋電図を計測した。動作前の圧中心は全対象者でリーチ側反対へ変位し、16名で前方変位した。また多裂筋(16名)が活動した。動作開始後には、全対象者で圧中心のリーチ側及び後方変位と、大腿筋膜張筋(15名)、大腿直筋(13名)の活動が生じ、リーチ肢位到達前で全対象者の圧中心前方変位と中殿筋の活動を認めた。動作前は側方リーチを促す逆応答現象として圧中心を反対側、前方変位させ、多裂筋は骨盤前傾と反対側傾斜を制御した。また動作開始において、股関節伸展での骨盤後傾の制動に大腿筋膜張筋と大腿直筋の活動が重要であった。


「接骨院の衛生学的問題点その対策」 畑島 紀昭

 

接骨院で物理療法機器が「不潔である」と機器の使用を拒否した患者がいた。そのため接骨院の衛生学的維持・管理法(以下管理法)の現況調査を行い、問題点とその対策を検討した。本学園校友会名簿から300件を抽出しアンケート調査を実施した。また使用頻度が高い電気療法(以下電療)の電極のスポンジおよび導子(以下電極部)の付着細菌数と、MRSAの有無について調査を行った。さらにこの電極部の消毒法についても検討した。アンケート結果から、特に電療電極部の管理法と手指消毒に問題があることが示唆された。電療電極のスポンジから多くの付着細菌が認められ、電極部からMRSAが検出された。電極部の消毒法の検討ではアルコール噴霧が効果的であった。高齢者の来院数が多い接骨院において、日和見感染等の感染防止のためには手指および機器の適切な消毒が必要である。


「ホールドリラックスを利用したリラックスイメージが脊髄神経機能の興奮性に与える影響 ‐3秒間収縮と5秒間収縮の比較‐」 松井 滉平

 

健常者14名(平均年齢23.9歳)を対象に、ホールドリラックス(Hold-Relax: HR)を用いたリラックスイメージ(Relax-Imagery: RI)の収縮時間変化が脊髄神経機能の興奮性に与える影響をF波で検討した。F波は、正中神経刺激で母指球筋から導出した。まず、安静時のF波を測定した。その後、3秒間または5秒間の筋収縮を用いたHR(3秒HR、5秒HR)を練習した。次に、練習したHRのイメージを行いながらF波を測定し(RI試行)、RI直後、5、10、15分後にF波を測定した。同様に、HR練習無しの場合をコントロール群として測定した。F波の分析項目は振幅F/M比、出現頻度、立ち上がり潜時とした。3秒HRを用いたRIの振幅F/M比は5、10、15分後で安静時と比較して低下し、出現頻度は10分後で安静時、RI直後と比較し低下した。5秒HRを用いたRIの振幅F/M比、出現頻度はRI前後で有意な変化を認めなかった。各試行間の比較では振幅F/M比は3秒HRを用いたRI群が10、15分後でコントロール群と比較して低下し、出現頻度は3秒HRを用いたRI群が5、10、15分後で5秒HRの場合と比較して低下した。3秒HRを用いたRIでは、RI中に筋収縮のイメージが混在しにくく、5秒HRを用いたRIを行う場合より、RI後に継続して脊髄神経機能の興奮性を低下させる可能性が示唆された。


「低周波鍼通電療法が筋酸素動態に及ぼす影響 ‐周波数による検討‐」 龍神 孝慶

 

健康成人男性8名(平均年齢21.1±0.3歳)を対象に、ヒトにおいて周波数の異なる低周波鍼通電療法(electro-acupuncture: EA)が筋酸素動態および循環動態に及ぼす影響を検討した。筋酸素動態は、近赤外線分光法(near-infrared spectroscopy: NIRS)を用いて非侵襲的に測定した。5分間のベースラインを記録した後、EAを15分間行い、回復期を20分間記録した。同時に、血圧と心拍数を測定した。EAの周波数は1Hz、5Hz、および20Hzとし、コントロールとして無刺激を1週間以上の間隔を空けて同一被験者でランダムに行った。酸化型ヘモグロビン濃度の割合(Tissue Oxygenation Index: TOI)は20HzのEA中、有意に減少し(p < 0.05)、EA後は増加した。また、総ヘモグロビンの相対濃度(normalized Tissue Hemoglobin Index: nTHI)は20HzのEA中、一過性に減少し、EA後、有意に増加した(p < 0.05)。1Hz、5HzのEAでは実験中、TOI、nTHIともに有意な変化は見られなかった。回復期におけるピーク値の比較では20HzがTOI、nTHIともに1Hz、5Hzおよびコントロールと比べ、有意に高値を示した(p < 0.05)。血圧と心拍数は実験中、一定であった。20HzのEAでは1Hz、5HzのEAより強い筋張力が発生したため、筋内圧が大きくなり筋血管が機械的により圧迫され、TOIとnTHIが著しく減少した可能性が示唆された。また、EA後は筋収縮に伴う筋血管の圧迫解除によって直ちにTOIとnTHIが増加したと考えられた。TOIとnTHIの増加が持続した理由としては、一酸化窒素(NO)などの血管拡張物質の関与が示唆された。1Hz、5Hzに比べて20HzのEAでは、EA中、筋組織への酸素供給はより減少し、EA後に著しく増加することが示唆された。


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