大学院鍼灸学ユニット木村研究室紹介_鍼灸の研究の面白さ

2016年04月01日

 
 こんにちは、鍼灸学ユニットの木村研一です。鍼灸は腰痛や肩こり、膝痛などの運動器疾患や高血圧や冷え症などの循環器疾患、便秘や胃痛などの消化器疾患、不妊症などの婦人科疾患や排尿障害、EDなどの泌尿器疾患など多岐にわたる疾患や症状に対して用いられています。最近ではしみやしわ、むくみの改善、リフトアップなどの美容を目的とした美容鍼灸も盛んです。
 一方、皆さんはエビデンスといった言葉を聞いたことがあるでしょうか?ニュースや新聞で聞いたことがあるかもしれませんが、政治や経済など色々な場面で用いられる言葉です。医学の世界では科学的根拠という意味で用いられます。現代医学では科学的根拠に基づく医療(Evidence Based Medicine:EBM)が基本になっています。伝統医学のひとつである鍼灸にも現在、EBMが求められています。そのためにはEvidenceを科学的な手法で示す必要があります。具体的には特定の疾患や症状に対して鍼灸治療が有効であるということを検証する臨床研究や、何故、鍼灸治療に効果があるのかというメカニズムを明らかにする基礎研究の両者が必要です。
 木村研究室では大学院生や課題研究の学生さんと一緒に鍼灸が皮膚や筋の血流に及ぼす影響やなぜ、血流が良くなるのかという点に着目して研究を行ってきました。何故、血流かというと、鍼灸治療によって血流が良くなることで肩こりや冷え症が改善すると一般的に考えられているからです。しかし、科学的な検証は乏しいのが現状です。これまで私たちは近赤外線分光法という方法を用いて鍼灸治療のひとつである低周波鍼通電療法が筋組織中の酸素化ヘモグロビン濃度に与える影響を検討しました。結果、通電中は筋組織中の酸素化ヘモグロビン濃度は低下し、通電後は酸素化ヘモグロビン濃度が増加しました。すなわち、低周波鍼通電療法では置鍼(鍼を刺入したままの状態で置く方法)での報告と異なり、酸素化ヘモグロビン濃度は通電中に低下し、通電後に増加する二相性の反応を示すことが明らかになりました。また、マイクロダイアリシスという方法を用いて置鍼や温灸による局所の皮膚の血流増加には血管拡張物質である一酸化窒素が関わっていることも報告しました。これらの研究成果はあくまで鍼灸の治療効果のメカニズムの一端だと思いますが、こうした積み木のような地道な研究の積み重ねが鍼灸のエビデンスの構築につながると思っています。研究をしていると思うような結果がでなかったり、全く予想と異なる結果がでることが往往にしてあります。研究を進める度に新しい疑問もわいてきます。是非、本学の大学院に入学して頂いて、鍼灸の治療効果のメカニズムについて一緒に研究しましょう。

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