大学院鍼灸学ユニット坂口研究室紹介_冷え症の鍼灸治療で社会に貢献

2016年12月02日

 こんにちは。鍼灸学ユニットの坂口俊二です。私は本学の前身である関西鍼灸短期大学の第3期生で、卒業後は同研修員、附属鍼灸治療所鍼灸師を経て教員となり、はや四半世紀が経ちました。
 大学教員には臨床・教育・研究の全てが求められるのですが、これらは決して独立しているものではなく、関連し合っています。臨床とは、私にとっては鍼灸師として附属鍼灸治療所で患者さんの治療を行うことで、ここには実習として主に4年生の学生が入ってきます。臨床と教育がリンクしているのです。また、臨床で得られた効果を研究で検証し、それがエビデンスとなり、鍼灸師、患者さんの双方にとって適切な情報源になっていきます('一般化')。このサイクルの全てに関わることのできる教員にはとても魅力を感じています。
 さて、今回は研究室の紹介がテーマですので、私達が現在行っている冷え症研究について少し紹介します。
 冷え症は日本では社会通念として存在し、特に女性の約半数が手足や全身などの「冷え」を訴え、さらにその中の約20%が「冷え」が原因で日常生活に支障を来しており、これを「冷え症」と呼んでいます。ただ、西洋医学では、「冷え症」を病気ではなく、不定愁訴の一つとして捉え、積極的な治療が行われていないのが現状です。さらにこの時期、冷え症に対する健康食品や各種商品が多く販売されていますが、その効果は必ずしも適切に検証されているわけではありません。一方、漢方薬と鍼灸を両輪とする東洋医学では、「冷え」を診断・治療の重要な指標とし、そこから進展した「冷え症」に対し、漢方薬や鍼灸を使って積極的に治療をしてきました。これまで多くの症例においてその有効性が示されてきましたが、その研究手法は充分とは言えず、エビデンスとして示すまでには至っていません。
 そこで、本研究室では、北里大学東洋医学研究所の伊藤剛先生の研究に着目し、冷え症者の身体各部の体温測定を厳密な環境下で行うことで、冷え症を4つのタイプに分類することに取り組んでいます。さらに、そのタイプに合わせた治療部位('ツボ')を選択し、そこに鍼治療を行っています(写真は治療室の様子です)。この研究はランダム化比較試験という研究デザインで行い、ここで得られる結果はエビデンスが高いとされています。上述したように成果の一般化に向けて大事な関門と言えます。この実現に向けて院生はもちろん、鍼灸学ユニットの教員、さらにはユニットの垣根をこえ多くの教員とともに今まさに奮闘中です。この研究は年明けからデータ入力・解析へと進み、修士論文としてまとめられていくことになります。院生の成長に大いに期待しています。
 ちなみに本大学院ではユニット全体で院生を教育しています。鍼灸学ユニットには鍼灸以外の分野を専門とする教員もいますので、検討会ではいつも熱い議論が行われます。その中に身を置くことで、院生も広い視野を持ち研究者としての第一歩を踏み出すことができるのです。

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