教員ブログ保健医療学部 はり灸・スポーツトレーナー学科

まもなく「集大成」

2019年02月01日

このコラムがアップされる2月は、医療系国家資格を目指す学生にとって「国家試験」の時期です。多くの医療系国家資格試験が毎週末に実施される、受験生にとっては正に集大成の時ですね。国家試験に合格しないと思い描いていた仕事ができないわけですから、プレッシャーがかかります。はり師・きゅう師(両資格を取得して鍼灸師といいます)の国家資格は2月最終週日曜日に実施されますので、今年は2月24日です。本学は4年制ですので、4年生は朝から晩まで受験勉強...我々教員も国家試験の補講に勤しむ毎日です。

さて、はり灸・スポーツトレーナー学科にはもう一つ試験が待ち構えています。(公財)日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)実技試験です。これは昨年末11月に理論試験というマークシート試験をクリアした人が受験できる、いわゆるJSPO-ATの最終試験です。アスレティックトレーナーの試験内容は医療系知識・技術を多く含んでいるので、医療系の学校に進学した学生には非常に有利です。実技試験では、理論試験でクリアした知識を実践できるのか、ということが問われる内容です。とはいえ、現場での応用を評価されるのでは無く、あくまでもJSPO-ATとしてエントリーレベルにあるかどうか、を判定されます。

実技試験の内容は、
①スポーツ現場における救急処置(8分間)
②アスレティックリハビリテーション(12分間)
③テーピング(8分間)
の3項目です。設定された状況を括弧内の時間で実施・指導する、シミュレーション試験となっています。

①と②ではスポーツ傷害や現在の状態が設定されており、受験生は問診や視診、触診、スペシャルテストでその状態を探り、適切な処置やトレーニングを処方していきます。テーピングは指定された部位と巻き方を実施します。私も受験しましたが、トータル時間30分間(私の当時は4項目40分間でしたが)、緊張しっぱなしで喉がカラカラになったことを強烈に覚えています(笑)。

国家試験、JSPO-ATのダブル受験をクリアする学生は非常に少ないのが現状です。しかしながら、本学に進学してきた目標を達成した学生は非常に素晴らしい顔をしています。「皆ができることでないからこそ価値がある」、のは社会でもスポーツでも同じことと思います。資格を得ることは、自分自身の仕事に普遍的な価値を付与する意味もあるのではないでしょうか。そして、価値を追求する姿勢はきっと卒業というスタートラインを何歩も前進させてくれます。試験が終われば1週間後に卒業式が待っています。学生が、この2月をバネに大いに羽ばたくことを期待して止みません。

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写真は野球選手への指導場面です。実践あるのみ!


女性と鍼灸

2018年12月14日

はり灸・スポーツトレーナー学科 山口由美子 

 皆さん、こんにちは。最近はオープンキャンパスの参加者や入学生に女性が増えています。鍼灸師の仕事は、「力が要るんじゃないか?」とか「女性でもやっていけるのだろうか?」という質問を高校生や保護者の方から受けるときもあります。一方、女性ならではの繊細さが必要なとき、女性目線で捉えることが患者さんの安心につながるときも多々あります。以前に女性アスレティックレーナーのニーズについて話をしましたが、今回は女性だからわかってあげられる「女性と鍼灸」について話をしたいと思います。

 女性のライフサイクルの中には妊娠、出産、育児を経験する方がおられます。その一つである妊娠について鍼灸師として何ができるのか?

 妊娠から出産までの過程で、妊婦の身体は妊娠子宮や胎児と共に変化をしていきます。皆さんは、妊婦が経験するマイナートラブルがあることを知っていますか?つわりや足のむくみは有名ですが、便秘が妊娠初期から後期まで妊婦を悩ますことが多くあります。医学的には、プロゲステロンというホルモンの影響により腸管運動機能が低下することが原因で起こります。さらに大きくなる妊娠子宮によって腸管が圧迫され、胃腸の内容物の通過時間も延長するため起こりやすくなるのです。こういった妊娠中の便秘に対して、鍼治療が便秘はもとより残便感やお腹のハリ感を改善したという報告があります。

 東洋医学では妊娠中の便秘について、主に「熱秘」、「気秘」、「虚秘」、「冷秘」の4つに分けられます。東洋医学的診察で確認する舌や脈も各々のタイプ別に特徴を示すので、上記のタイプに分け、それに合わせた経穴(いわゆるツボ)を選んで鍼灸を施すわけです。

 実は妊娠中は使える医薬品はほんの少しで、妊婦として胎児に負担となるものは出来るだけ避けたいとの理由で鍼灸の門をたたく方がおられます。男性鍼灸師、女性鍼灸師のどちらも施術は可能ですが、精神的に不安になりやすい妊娠期に身体のことを委ねやすいのは同性かもしれません。妊娠を経験した鍼灸師もいるでしょう。デリケートな話を異性に話しにくい女性もいらっしゃいます。私たちの目指す鍼灸は肩こり、腰痛など運動器疾患だけでなく、このような妊娠期に力を発揮し女性をサポートすることが可能となります。女性として不利なことばかりを考えずに、女性だからこそ強みにできることに目を向けて鍼灸師を目指してみませんか?写真は胎児の脚のエコーです。

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「仕事」と「資格」について

2018年11月02日

はり灸・スポーツトレーナー学科 寺岡祐助

「将来の夢」という作文を小学生の時に書いた覚えがあります。皆さんも経験されたことでしょう。今、同じテーマで作文を書こうとすると、少し恥ずかしい感じがしますよね。ある程度現実が見えてきた中で将来を考えるのは、勇気がいることです。よく夢を持つことが大切だと言われます。私も同感です。良い作文が出来上がるかどうかが重要なのではなく、自分の将来を考える過程で人は成長すると考えるからです。
そんな将来を考えるにあたり、多くの人が仕事や資格について調べるかと思います。私が関わる医療やスポーツといった業界でも多くの「資格」が存在します。直接手を施して治療することが出来る資格、運動を指導出来る資格等さまざまです。それぞれの領域をしっかり学修した証とも言えるでしょう。それらの資格に共通するものがあります。それは人を健康に導くということです。私はこれを「仕事」と捉えています。○○という資格を持っていたら有利だとか、△△を持っていると給料が良い等も考えるでしょう。それも大切なことです。しかし、そもそも人を健康に導くという仕事を本気で考えているか?自分自身に問いただしてみて下さい。厳しい言い方ですが、その「仕事」の気持ちが無いまま「資格」を求めるとなかなか身が入りません。
私達は人に影響を与える職業です。自分が人から必要とされて満足することを最終地点にしてはいけません。
人を健康に導く「仕事」であると自分が納得し、どのような方法で人に影響を与えるかという「資格」を考えて将来を描いてもらいたいと思います。人を健康に導く思いがあり、鍼灸師やスポーツトレーナーを目指すと決めた方。是非共に勉強しましょう!
私の仕事は多くの人を健康に導くことです。そのために鍼灸師、アスレティックトレーナーといった資格を活用しています。

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※写真は私が鍼を使って「仕事」をする瞬間です。


鍼(はり)を打つ

2018年09月19日

はり灸・スポーツトレーナー学科 山﨑寿也

 早いもので、新入生が入学してから半年が経とうとしています。はり灸・スポーツトレーナー学科では、1年生の前期から鍼(はり)の実習が始まります(灸は後期からです)。

鍼を見たことも触ったこともなかった学生たちが、今では足に鍼を打てるようになりました。

さて、鍼は身体の表面(皮膚)から打つのですが、当然皮膚の下がどうなっているのかはわかりません。皮膚の下には、筋肉・骨・血管・神経・・・色々なものがあります。どの位置からどの方向にどのくらいの深さどの角度で打ったらいいのでしょうか?

私たちは、解剖学という身体の内部構造を勉強し、皮膚を触り、身体の内部を想像しながら実際の身体(学生同士)で鍼を打つ練習をします。

 他の医療現場はどうなのでしょうか?手術の現場でも身体の内部を把握することは重要です。手術前に身体の内部がわかれば、練習やイメージトレーニング・シミレーションができます。

レントゲン・MRI・CT・内視鏡など様々な医療機器が開発されてきましたが、不十分なところも多くありました。ところが、最近になって実用化されてきたのが3DプリンターとVR(バーチャル・リアリティー)です。VRとは、コンピュータ・モデルとシミュレーション技術を用いて、コンピュータでつくられた三次元空間を、視覚その他の感覚を通じて疑似体験できるようにしたもの(仮想現実)です。これをHMD(いわゆるスキーのゴーグルのように顔面に装着するディスプレイ)を見ながら仮想体験を行うのです。

MRI・CTの画像データを利用し、3Dプリンターで臓器などの精巧な模型をつくり、どう処置をするか検討できますし、また、そのデータを立体画像にして空間に映し出すこともできます。当然、学生の学習にも利用できます。

 「情熱大陸」(MBS製作著作/TBS系全国ネット)という番組を見ている人いますか?2018年5月27日の放送は、「手術室に浮かび上がる3Dの臓器! VRを駆使した最先端医療に挑む外科医に密着」という内容でした。この中で、医療現場におけるVR技術を紹介していました(図)。

これらの技術が身近になり、近い将来鍼灸にも応用されれば、実習方法が劇的に変わるかもしれません。例えば、学生達が実技室でゴーグルを着け、仮想空間で鍼を打つ練習をしているかもしれません(笑)。

図 3D空間上CTデータ(臓器・骨等)を表示 

「情熱大陸」(MBS製作著作/TBS系全国ネット、2018年5月27日午後11時~11時半)より

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暑さ対策、意外な落とし穴

2018年08月08日

はり灸・スポーツトレーナー学科 内田靖之

 毎日暑いですね。今年は例年に無い猛暑日が続き、熱中症対策がテレビで多く取り上げられています。スマホの天気予報から「原則運動中止」の警報が届く人も多かったのではないでしょうか。多くのアスリートはこのような場合でも、原則的に熱中症予防の指針に従って活動していますが、暑熱環境下での活動を余儀なくされます。では、選手だけでなくスタッフは?実はアスリートが大丈夫でもスタッフが熱中症にかかる可能性は大いにあります。というのも、アスリートは年中運動しているわけで、熱くなる前からいわゆる暑熱馴化(徐々に暑さに馴れる)が進んでいることが多い訳です。しかしながら、多くのスタッフはアスリートよりも年を重ねており、且つ長時間にわたって屋外の活動を余儀なくされています。これだけでも熱中症になるリスクが高いわけですね。特にアスレティックトレーナーは、誰よりも早く現場に来て、誰よりも遅く帰ることが多い仕事です。トレーニング中・試合中にも選手の異変に目を光らせているため気が張っていますが、集中しているときこそ水分補給を怠ることが多くなります。幸い大事には至りませんでしたが、私も現場でスタッフが熱中症で倒れ、処置を施したことがあります。
 スポーツ現場ではアスリートだけでなく、多くのスタッフが動いています。アスレティックトレーナーは、その仕事で最も大切な「予防」のために、広く目を光らせておく必要がありますね。勿論、自分自身の体調管理も大切な仕事です。熱中症も怪我も「起こらない」ことが大事です。これをご覧の皆さんも、広い視野を持って、現場を見てみてください。

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(写真の説明)スタッフと選手でフィールドチェック中。芝の状態、実際の暑さ、などなど。


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