教員ブログ保健医療学部 はり灸・スポーツトレーナー学科

暑さ対策、意外な落とし穴

2018年08月08日

はり灸・スポーツトレーナー学科 内田靖之

 毎日暑いですね。今年は例年に無い猛暑日が続き、熱中症対策がテレビで多く取り上げられています。スマホの天気予報から「原則運動中止」の警報が届く人も多かったのではないでしょうか。多くのアスリートはこのような場合でも、原則的に熱中症予防の指針に従って活動していますが、暑熱環境下での活動を余儀なくされます。では、選手だけでなくスタッフは?実はアスリートが大丈夫でもスタッフが熱中症にかかる可能性は大いにあります。というのも、アスリートは年中運動しているわけで、熱くなる前からいわゆる暑熱馴化(徐々に暑さに馴れる)が進んでいることが多い訳です。しかしながら、多くのスタッフはアスリートよりも年を重ねており、且つ長時間にわたって屋外の活動を余儀なくされています。これだけでも熱中症になるリスクが高いわけですね。特にアスレティックトレーナーは、誰よりも早く現場に来て、誰よりも遅く帰ることが多い仕事です。トレーニング中・試合中にも選手の異変に目を光らせているため気が張っていますが、集中しているときこそ水分補給を怠ることが多くなります。幸い大事には至りませんでしたが、私も現場でスタッフが熱中症で倒れ、処置を施したことがあります。
 スポーツ現場ではアスリートだけでなく、多くのスタッフが動いています。アスレティックトレーナーは、その仕事で最も大切な「予防」のために、広く目を光らせておく必要がありますね。勿論、自分自身の体調管理も大切な仕事です。熱中症も怪我も「起こらない」ことが大事です。これをご覧の皆さんも、広い視野を持って、現場を見てみてください。

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(写真の説明)スタッフと選手でフィールドチェック中。芝の状態、実際の暑さ、などなど。


ブタは人類の救世主になりうるか

2018年06月29日

はり灸・スポーツトレーナー学科 小河健一

1型糖尿病は、血糖を下げるホルモンであるインスリンを唯一分泌できる膵島(すいとう)が、何らかの原因で破壊されてしまい、インスリンが欠乏して高血糖になる病気です。膵島は一度破壊されてしまうと、自然復活することができません。
現在1型糖尿病の治療法は、①インスリンを一生投与し続ける(根治にはならない)、②膵島移植をする、の2つが考えられています。
①の方法は毎日注射をうち続けることになります。インスリンをうつ前に血糖値を計測し、注射器等を使ってインスリンをうちます。この時、体に針を刺すことになります。針を刺す回数は年間3000回を超えることもあり、幼い患者やその家族の心と体に大きな負担が強いられます。
しかし、根治が期待できる「②膵島移植」にも課題があります。わが国では、亡くなった方からの膵臓の提供は少なく、移植を受けられる人数が少ないのが現状です。また、移植に伴う拒絶反応を抑える免疫抑制剤による副作用があります。さらに、移植をしてもインスリン投与の必要がない期間が長く続かない(3年程度)ということです。
このような課題をクリアするため現在研究が進められているのが、iPS細胞やES細胞による膵島の再生、そして、免疫隔離膜のカプセルを活用した「バイオ人工膵島移植」と言われる治療方法です。
 「バイオ人工膵島移植」とは、無菌状態の環境で育ち、ヒトへの移植に適した清潔なブタから「膵島」を取り出し、免疫隔離膜のカプセルで包んで、患者の体に移植する治療方法です。免疫隔離膜のカプセルは移植した膵島を免疫細胞からの攻撃を避けるために用いられます。
実はブタは最もヒトへの臓器移植が期待されている動物で、ブタからの臓器移植は世界中で盛んに研究されています。異種移植は臓器不足を解消する手段として、ニュージーランドやロシアなどでブタから人への移植が200例以上行われています。残念ながら国内での実施例はありません。明治大や京都府立大などのチームは、人への移植用のブタを作製したとして、2018年3月10日に開かれた日本異種移植研究会で発表しました。 動物の臓器や細胞を人に移植する「異種移植」に関する国の指針に基づき、移植用動物を作ったのは初めてで、来年初めには民間企業と共同でブタの供給を始める方針です。ブタが糖尿病患者をはじめ、移植の必要な患者の救世主になりうるか、今後の研究成果が待たれます。
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日本伝統医学へのいざない

2018年05月18日

はり灸・スポーツトレーナー学科長 若山育郎

みなさん、こんにちは。今回は、日本の伝統医学について少し解説をします。

皆さんは、はりきゅうや漢方は中国の医学だと思っていませんか?確かにはりきゅうと漢方は中国から日本にもたらされたものです。しかし、それは1500年近く前のことで、それ以降は中国に教えを請いながらも、私たちの先祖の医学者は日本独自の医学を開発し、それが今日まで受け継がれています。皆さんが入学後に習うのはそのような日本伝統医学なのです。漢方も「漢」すなわち中国の、「方」すなわち医術というのがもともとの語源なので、中国の医学と誤解されやすいのですが、れっきとした日本伝統医学なのです。

中国は昔から王朝が交代するとそれ以前の王朝の文化や知識はすべて捨て去り、場合によっては自分たちが都合の良いように歴史を書き換えることで、新しい王朝の権威を保つということを歴代おこなってきた国です。したがって、古代中国の医学に関する書物や知識もむしろ日本に残っているのです。また、現在中国で行われている伝統医学は近代中国において作られたもので、古代中国の医学はむしろ日本で発展していると言っても良いくらいです。ただし、日本人は古代中国医学をそのまま受け継いでいるわけではなく、日本特有の気候や日本人の体質にうまく合うように様々な工夫をして日本流の伝統医学を発展させてきました。

 その一例がはりです。皆さんが本学に入学するとはりきゅうの実習があり、お互いにはりを刺して練習します。ところが、はりの太さは日本と中国ではかなり違うのです。中国では太いはりを使います。日本では髪の毛ほどの細いはりを使います。もともと日本にはりが入って来たときは中国式のはりだったのですが、それを私たちの先祖の医学者が日本人の身体に合うように、身体にやさしい痛くないはりを開発したのです。太いはりを筋肉などにズブッと入れるよりも、細いはりを浅く優しく刺して治療するほうが日本人の身体には合っているし効果も高いことがわかってきたからです。

 はり灸・スポーツトレーナー学科では、この日本の伝統医学であるはりきゅう(写真)を基礎として、その上の資格としてアスレティックトレーナーや健康運動実践指導者などの資格をとることができるカリキュラムを用意しています。
日本の伝統医学を継承する治療家になってみませんか。

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多くのことを学び、資格を活かすために

2018年03月30日

はり灸・スポーツトレーナー学科 北川洋志

「腰が痛い」と訴える人が、あなたの目の前にいます。あなたがその人を支える立場にあったならば、どのような対応を取りますか?今は具体的な対応方法が思いつかなかったとしても、目の前の人で痛みを訴える人をどのような状態にしてあげたいですか?
訴えられた腰の痛みを治療し、腰の痛みで二度と悩まなくなれば間違いなく喜んでもらえるでしょう。しかし、繰り返し腰が痛くなってきてしまう場合もあります。その場合、そのたびに治療が必要になってきます。もしかすると体の使い方に癖があり、その癖が腰に負担をかけていたとすれば、体の癖が治るようにコンディショニング(調整)ができれば腰の痛みは繰り返さなくなるかもしれません。しかし、体に染みついた癖が治るのには時間がかかります。その間に痛みが悪化してくる場合もあります。痛みを抱えたまま身体の癖が治るまでトレーニング(運動)を行うのも辛いものです。では治療で腰痛を治しながら、コンディショニングで体の癖を治していけるとなればどうでしょうか。
もちろん体の使い方の癖だけに原因があるのではなく、体が硬いことや逆に軟らかすぎること、筋力が低下していることが原因のこともあります。痛みのせいで変な癖が出ていることもあります。目の前の人を支えていくためには、その人の状態を評価し、適切な方法を判断して、対応していく必要があります。そのような対応ができるようになるまでには、絶え間ない努力が必要となってきます。
はり灸・スポーツトレーナー学科では、治療やコンディショニングに必要な技術だけではなく、基礎医学(解剖・生理・病理)、西洋医学、東洋医学などたくさんの知識を学びます。それらの学びは、将来、あなたが対面していく患者さんや選手へ向けられます。治療して痛みを取る、繰り返し痛まないように予防する、生活の質の向上や競技力アップのためにトレーニングを指導する。そのすべてが直接的に「人のため」になる仕事です。そのための努力を惜しまない人にこそ、未来が拓けると信じています。あなたはこれから様々なことを学び、経験していくことで悩み、考え方も変化していくかもしれません。その時に支えてくれるのはあなたの持っている「初心」です。「初心」を絶対に忘れず、進むべき道を自ら切り開いていってもらいたいと思います。

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見方によって東洋医学も大進化!

2018年02月23日


はり灸・スポーツトレーナー学科  黒岩共一

 YouTubeに有名な「バスケットコートのゴリラ」という頁がある。のぞいて見ると、「白チームのパスを数えなさい」との表示が先ず出る。画面が切り変わり白(シャツ)チームと黒チーム、それぞれ数名が入り乱れてバスケットボールのパスをし合う場面が30秒程続く。そしてパスは何回でしたか、と訊いてくる。ハイ正解は*回です。これで終わりと思いきや、実はこれからが本番である。「ところでゴリラを見てません?」との表示が出て、ゴリラ(着ぐるみ)はここで登場していましたと登場場面がリプレイされる。「エーッ、そうなの!」と驚く人が約半分いる。半分も気づいて無い人がいる方が驚きだ。視野追跡装置を装着させて同じ実験をすると、ゴリラに気づかなかった人もチャンとゴリラは見ていたことが判っている。気づいた人、気づかなかった人の性格分析では、極論すると気づかなかった人は真面目(優等生?)、気づいた人はアバウト、いい加減人間らしい。
 それにしても想像力をかき立ててくれる話しだよね。「眼では見ていても心では見てない」、「何を見るかは心が決める」。
 実はこの「同じ光景・場面を見ても、人により(心に)見えるものは別々」は、マジシャンに限らず世界の様々のシーンで広く利用されている。大学・研究の場でも利用価値は高い。それは...
 科学を推し進めるのは「課題に真剣に取り組む」人ばかりではない。たまたま目にとまったことに興味が湧いてしまい、本来の課題を忘れて内職を始めるタイプが時として「アッと驚く」成果をあげる。よく進んだ科学では、既に多くの「正解」が見つかっているので「真剣に課題に取り組む」タイプが優位に立つ。でも未開の科学で見つけられた正解が少ない、あるいは正解と思われているけど実は間違っている「正解」が幾つもある科学の場合ではどうだろう。課題に「真剣に取り組めない」タイプの方が真剣人には見えないことを見つけだすチャンスが訪れそうだよね。何せ東洋医学は宗教や伝説と科学のごった煮状態だから、ゴリラの群れが群雄割拠!チャンスゴロゴロの科学なんだから。 この未開状態の東洋医学の発展にはアバウトな君の脇見が役立つかも知れない。いや是非とも役立てて欲しい。勿論まじめ君にも未来を用意できる大学でもある。受験だけでもどう。

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