教員ブログ保健医療学部 はり灸・スポーツトレーナー学科

「仕事」と「資格」について

2018年11月02日

はり灸・スポーツトレーナー学科 寺岡祐助

「将来の夢」という作文を小学生の時に書いた覚えがあります。皆さんも経験されたことでしょう。今、同じテーマで作文を書こうとすると、少し恥ずかしい感じがしますよね。ある程度現実が見えてきた中で将来を考えるのは、勇気がいることです。よく夢を持つことが大切だと言われます。私も同感です。良い作文が出来上がるかどうかが重要なのではなく、自分の将来を考える過程で人は成長すると考えるからです。
そんな将来を考えるにあたり、多くの人が仕事や資格について調べるかと思います。私が関わる医療やスポーツといった業界でも多くの「資格」が存在します。直接手を施して治療することが出来る資格、運動を指導出来る資格等さまざまです。それぞれの領域をしっかり学修した証とも言えるでしょう。それらの資格に共通するものがあります。それは人を健康に導くということです。私はこれを「仕事」と捉えています。○○という資格を持っていたら有利だとか、△△を持っていると給料が良い等も考えるでしょう。それも大切なことです。しかし、そもそも人を健康に導くという仕事を本気で考えているか?自分自身に問いただしてみて下さい。厳しい言い方ですが、その「仕事」の気持ちが無いまま「資格」を求めるとなかなか身が入りません。
私達は人に影響を与える職業です。自分が人から必要とされて満足することを最終地点にしてはいけません。
人を健康に導く「仕事」であると自分が納得し、どのような方法で人に影響を与えるかという「資格」を考えて将来を描いてもらいたいと思います。人を健康に導く思いがあり、鍼灸師やスポーツトレーナーを目指すと決めた方。是非共に勉強しましょう!
私の仕事は多くの人を健康に導くことです。そのために鍼灸師、アスレティックトレーナーといった資格を活用しています。

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※写真は私が鍼を使って「仕事」をする瞬間です。


鍼(はり)を打つ

2018年09月19日

はり灸・スポーツトレーナー学科 山﨑寿也

 早いもので、新入生が入学してから半年が経とうとしています。はり灸・スポーツトレーナー学科では、1年生の前期から鍼(はり)の実習が始まります(灸は後期からです)。

鍼を見たことも触ったこともなかった学生たちが、今では足に鍼を打てるようになりました。

さて、鍼は身体の表面(皮膚)から打つのですが、当然皮膚の下がどうなっているのかはわかりません。皮膚の下には、筋肉・骨・血管・神経・・・色々なものがあります。どの位置からどの方向にどのくらいの深さどの角度で打ったらいいのでしょうか?

私たちは、解剖学という身体の内部構造を勉強し、皮膚を触り、身体の内部を想像しながら実際の身体(学生同士)で鍼を打つ練習をします。

 他の医療現場はどうなのでしょうか?手術の現場でも身体の内部を把握することは重要です。手術前に身体の内部がわかれば、練習やイメージトレーニング・シミレーションができます。

レントゲン・MRI・CT・内視鏡など様々な医療機器が開発されてきましたが、不十分なところも多くありました。ところが、最近になって実用化されてきたのが3DプリンターとVR(バーチャル・リアリティー)です。VRとは、コンピュータ・モデルとシミュレーション技術を用いて、コンピュータでつくられた三次元空間を、視覚その他の感覚を通じて疑似体験できるようにしたもの(仮想現実)です。これをHMD(いわゆるスキーのゴーグルのように顔面に装着するディスプレイ)を見ながら仮想体験を行うのです。

MRI・CTの画像データを利用し、3Dプリンターで臓器などの精巧な模型をつくり、どう処置をするか検討できますし、また、そのデータを立体画像にして空間に映し出すこともできます。当然、学生の学習にも利用できます。

 「情熱大陸」(MBS製作著作/TBS系全国ネット)という番組を見ている人いますか?2018年5月27日の放送は、「手術室に浮かび上がる3Dの臓器! VRを駆使した最先端医療に挑む外科医に密着」という内容でした。この中で、医療現場におけるVR技術を紹介していました(図)。

これらの技術が身近になり、近い将来鍼灸にも応用されれば、実習方法が劇的に変わるかもしれません。例えば、学生達が実技室でゴーグルを着け、仮想空間で鍼を打つ練習をしているかもしれません(笑)。

図 3D空間上CTデータ(臓器・骨等)を表示 

「情熱大陸」(MBS製作著作/TBS系全国ネット、2018年5月27日午後11時~11時半)より

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暑さ対策、意外な落とし穴

2018年08月08日

はり灸・スポーツトレーナー学科 内田靖之

 毎日暑いですね。今年は例年に無い猛暑日が続き、熱中症対策がテレビで多く取り上げられています。スマホの天気予報から「原則運動中止」の警報が届く人も多かったのではないでしょうか。多くのアスリートはこのような場合でも、原則的に熱中症予防の指針に従って活動していますが、暑熱環境下での活動を余儀なくされます。では、選手だけでなくスタッフは?実はアスリートが大丈夫でもスタッフが熱中症にかかる可能性は大いにあります。というのも、アスリートは年中運動しているわけで、熱くなる前からいわゆる暑熱馴化(徐々に暑さに馴れる)が進んでいることが多い訳です。しかしながら、多くのスタッフはアスリートよりも年を重ねており、且つ長時間にわたって屋外の活動を余儀なくされています。これだけでも熱中症になるリスクが高いわけですね。特にアスレティックトレーナーは、誰よりも早く現場に来て、誰よりも遅く帰ることが多い仕事です。トレーニング中・試合中にも選手の異変に目を光らせているため気が張っていますが、集中しているときこそ水分補給を怠ることが多くなります。幸い大事には至りませんでしたが、私も現場でスタッフが熱中症で倒れ、処置を施したことがあります。
 スポーツ現場ではアスリートだけでなく、多くのスタッフが動いています。アスレティックトレーナーは、その仕事で最も大切な「予防」のために、広く目を光らせておく必要がありますね。勿論、自分自身の体調管理も大切な仕事です。熱中症も怪我も「起こらない」ことが大事です。これをご覧の皆さんも、広い視野を持って、現場を見てみてください。

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(写真の説明)スタッフと選手でフィールドチェック中。芝の状態、実際の暑さ、などなど。


ブタは人類の救世主になりうるか

2018年06月29日

はり灸・スポーツトレーナー学科 小河健一

1型糖尿病は、血糖を下げるホルモンであるインスリンを唯一分泌できる膵島(すいとう)が、何らかの原因で破壊されてしまい、インスリンが欠乏して高血糖になる病気です。膵島は一度破壊されてしまうと、自然復活することができません。
現在1型糖尿病の治療法は、①インスリンを一生投与し続ける(根治にはならない)、②膵島移植をする、の2つが考えられています。
①の方法は毎日注射をうち続けることになります。インスリンをうつ前に血糖値を計測し、注射器等を使ってインスリンをうちます。この時、体に針を刺すことになります。針を刺す回数は年間3000回を超えることもあり、幼い患者やその家族の心と体に大きな負担が強いられます。
しかし、根治が期待できる「②膵島移植」にも課題があります。わが国では、亡くなった方からの膵臓の提供は少なく、移植を受けられる人数が少ないのが現状です。また、移植に伴う拒絶反応を抑える免疫抑制剤による副作用があります。さらに、移植をしてもインスリン投与の必要がない期間が長く続かない(3年程度)ということです。
このような課題をクリアするため現在研究が進められているのが、iPS細胞やES細胞による膵島の再生、そして、免疫隔離膜のカプセルを活用した「バイオ人工膵島移植」と言われる治療方法です。
 「バイオ人工膵島移植」とは、無菌状態の環境で育ち、ヒトへの移植に適した清潔なブタから「膵島」を取り出し、免疫隔離膜のカプセルで包んで、患者の体に移植する治療方法です。免疫隔離膜のカプセルは移植した膵島を免疫細胞からの攻撃を避けるために用いられます。
実はブタは最もヒトへの臓器移植が期待されている動物で、ブタからの臓器移植は世界中で盛んに研究されています。異種移植は臓器不足を解消する手段として、ニュージーランドやロシアなどでブタから人への移植が200例以上行われています。残念ながら国内での実施例はありません。明治大や京都府立大などのチームは、人への移植用のブタを作製したとして、2018年3月10日に開かれた日本異種移植研究会で発表しました。 動物の臓器や細胞を人に移植する「異種移植」に関する国の指針に基づき、移植用動物を作ったのは初めてで、来年初めには民間企業と共同でブタの供給を始める方針です。ブタが糖尿病患者をはじめ、移植の必要な患者の救世主になりうるか、今後の研究成果が待たれます。
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日本伝統医学へのいざない

2018年05月18日

はり灸・スポーツトレーナー学科長 若山育郎

みなさん、こんにちは。今回は、日本の伝統医学について少し解説をします。

皆さんは、はりきゅうや漢方は中国の医学だと思っていませんか?確かにはりきゅうと漢方は中国から日本にもたらされたものです。しかし、それは1500年近く前のことで、それ以降は中国に教えを請いながらも、私たちの先祖の医学者は日本独自の医学を開発し、それが今日まで受け継がれています。皆さんが入学後に習うのはそのような日本伝統医学なのです。漢方も「漢」すなわち中国の、「方」すなわち医術というのがもともとの語源なので、中国の医学と誤解されやすいのですが、れっきとした日本伝統医学なのです。

中国は昔から王朝が交代するとそれ以前の王朝の文化や知識はすべて捨て去り、場合によっては自分たちが都合の良いように歴史を書き換えることで、新しい王朝の権威を保つということを歴代おこなってきた国です。したがって、古代中国の医学に関する書物や知識もむしろ日本に残っているのです。また、現在中国で行われている伝統医学は近代中国において作られたもので、古代中国の医学はむしろ日本で発展していると言っても良いくらいです。ただし、日本人は古代中国医学をそのまま受け継いでいるわけではなく、日本特有の気候や日本人の体質にうまく合うように様々な工夫をして日本流の伝統医学を発展させてきました。

 その一例がはりです。皆さんが本学に入学するとはりきゅうの実習があり、お互いにはりを刺して練習します。ところが、はりの太さは日本と中国ではかなり違うのです。中国では太いはりを使います。日本では髪の毛ほどの細いはりを使います。もともと日本にはりが入って来たときは中国式のはりだったのですが、それを私たちの先祖の医学者が日本人の身体に合うように、身体にやさしい痛くないはりを開発したのです。太いはりを筋肉などにズブッと入れるよりも、細いはりを浅く優しく刺して治療するほうが日本人の身体には合っているし効果も高いことがわかってきたからです。

 はり灸・スポーツトレーナー学科では、この日本の伝統医学であるはりきゅう(写真)を基礎として、その上の資格としてアスレティックトレーナーや健康運動実践指導者などの資格をとることができるカリキュラムを用意しています。
日本の伝統医学を継承する治療家になってみませんか。

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