動物実験センター動物実験計画の立案のための倫理的基準

本倫理基準は、研究者が動物実験計画を策定し、動物実験計画書による動物実験の申請を行う際に参考とするための倫理的ガイドラインである。

1. 倫理的原則

  1. 動物実験に代替する実験方法がない場合にのみ動物実験を行い、また、動物が被る苦痛の程度より研究の意義の方が大きいと判断されたものについてのみ動物実験を行うことができる。
  2. 動物実験に際しては、生命を用いて実験を行っていることを十分に意識し、動物に対して深い愛情と感謝の気持ちを持ちつつ実験を行わなければならない。
  3. 実験に使用する動物の数は、必要最小限にとどめ、また、不必要な苦痛を与えないようにしなければならない。
  4. 苦痛を伴う実験においては、苦痛の強さと持続時間が最小となるようにしなければならない。
  5. 実験手技の選択にあたっては、その経済性や容易さではなく、動物が被る苦痛が少ない方法を選択する。
  6. 当初の実験計画における予想と反して、動物が重度の苦痛を伴っていると判断した場合には、「実験動物の飼養および保管等に関する基準」に従い、直ちに安楽死処分しなければならない。
  7. 苦痛や病的な影響を及ぼすような長時間の物理的な保定は、代替できる実験手段がない場合にのみ行うことができる。

2. 審査のための倫理的基準

【カテゴリーA】 生物を用いない実験、あるいは植物、細菌、原虫、または無脊椎動物を用いた実験
  • 生化学的研究、植物学的研究、細菌学的研究、微生物学的研究、無脊椎動物の研究、組織培養
  • 剖検により得られた組織を用いた研究、屠場より得た組織を用いた研究、発育鶏卵を用いた研究

【カテゴリーB】 動物に対してほとんど、あるいは全く不快感を与えないと思われる実験処置
  • 実験の目的のために、動物をつかんで保定すること
  • あまり有害でない物質の投与、あるいは採血などの簡単な処置
  • 深麻酔により意識のない動物を用いた実験で、処置後には苦痛や強い不快感を伴わないもの
  • 短時間(24時間以内)飼料や水を与えないこと
  • 適切な処置により動物を安楽死処分すること

【カテゴリーC】 動物に対して軽微なストレスあるいは痛みを伴う実験
  • 麻酔状態で血管を露出させたり、カテーテルを長時間挿入する実験
  • 意識のある動物に対して短時間ストレスを伴う保定を行うこと
  • 苦痛を伴う刺激を与える実験で、動物がその刺激から逃れられる場合
  • 麻酔状態における外科的処置、施灸などの熱刺激で、処置後に軽度の不快感を伴うもの
  • フロイントアジュバントによる免疫など、軽度の炎症や不快感を伴う物質の注射

このカテゴリーに属する実験については、ストレスや痛みの程度、持続時間などにより配慮が必要となる。


【カテゴリーD】 避けることのできない重度のストレスや痛みを伴う実験
  • 行動学的実験において、故意にストレスを加えること
  • 麻酔状態における外科的処置や熱刺激などで、処置後に著しい不快感を伴うもの
  • 苦痛を伴う解剖学的あるいは生理学的処置
  • 苦痛を伴う刺激を与える実験で、動物がその刺激から逃れられない場合
  • 長時間(数時間以上)にわたって動物の体を保定すること
  • 母親を処分して代理の親を与えること
  • 攻撃的な行動をとらせ、自分自身あるいは他個体を損傷させること
  • 麻酔薬を使用しないで激しい痛みを与えること

基本的には、このカテゴリーに属すると推測される実験計画については、動物に対する苦痛を軽減するために、その計画の変更を勧告する。また、計画の変更が不可能な場合には、承認可能であるか否かについて慎重に検討する。また、学生実習など、すでに確立された科学的知識の証明のためだけにこのカテゴリーに属する実験処置は行ってはならない。


【カテゴリーE】 麻酔していない意識のある動物を用いて、動物が耐えることのできない最大以上の痛みを与えるような処置
  • 手術する際の保定のために、麻酔薬を使用せず、筋弛緩薬あるいは麻痺性薬剤(サクシニルコリンやその他のクラーレ様作用を持つもの)を使うこと
  • 麻酔していない動物に重度の火傷や外傷を引き起こすこと
  • 避けることができない重度のストレスを与えること
  • ストリキニーネを用いて殺すこと
  • ストレスを与えて殺すこと

このカテゴリーに属する実験については、それによって得られる結果が重要なものであっても、決して行ってはならない。

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