
- 作業療法学科[ 保健医療学部 ]
- 伊藤 恵美
- 教授
- Emi Ito
思考力と実践力を備え、
対象者の気持ちに
寄り添い支援する作業療法士に。
関西医療大学の特長・魅力は?
看護・保健・医療の専門職をめざす学科が6学科あるため、学生時代から他職種の理解が深まり、将来、現場で連携を取るうえで役立つと思います。「保健医療」という同じ志をもつ学生同士が親しくなれる雰囲気があり、自然豊かな環境の中で学業に集中できる点が魅力です。
作業療法学科の特長・魅力は?
作業療法の専門領域には、身体障害と精神障害、高次脳機能障害、発達障害、老年期障害があります。本学では、各領域の臨床経験や教育・研究経験豊富な教員が揃い、専門的な教育に取り組んでいます。また、国際的視野の醸成にも力を入れ、台湾の義守大学の作業療法学科と協定を結び、国際交流を行っています。
伊藤先生が担当されている科目の内容と、指導するうえで大切にされていることは?
私は身体障害と高次脳機能障害領域が専門で、作業療法の基礎を学ぶ「作業療法学概論」、身体障害の状態を知るための「身体障害作業療法評価学」、高次脳機能障害といわれる脳機能の障害について学ぶ「高次脳機能障害作業療法評価学」などを担当しています。
授業では、知識や技術のシャワーを浴びせるのではなく、根幹となる専門知識と技術に基づき、作業療法評価や治療を運用する能力を高めることを心がけています。対象者の障害やニードは一人ひとり違いますから、それぞれに合わせた作業療法を展開できる思考力と実践力を培っています。
伊藤先生はどのような研究活動をされているのですか?
前頭葉機能検査に関する研究や、作業参加と高次脳機能の関連研究に携わってきました。近年は高次脳機能障害をもつ方の自動車運転評価に関する研究に取り組んでいます。
障害者の社会参加、特に就労するうえで自動車の運転は非常に大切な作業の一つです。その一方、特定の疾患をもつ方の逆走や信号無視などによる交通事故の問題もあり、運転の可否判断には課題があります。高次脳機能障害をもつ方が、社会的な安全も確保したうえで運転できるかどうかという評価や支援について研究しています。
伊藤先生が担当されているゼミの内容は?
若年成人を対象にした自動車運転評価に関する研究に取り組んでいます。自動車運転の評価は、脳機能を測る神経心理学的な検査と、シミュレーターで運転適正を評価する方法、実際に公道で車を運転して運転能力を判断する、という3種類の評価方法があります。ゼミでは、脳卒中の患者さんを対象に開発された運転に関する神経心理学的検査を、健常者に応用し、検査の信頼性について研究しています。
伊藤先生が作業療法士をめざされたきっかけは?
進路を考えていた高校生の頃は、作業療法士という職業はまだ知られていませんでした。病院勤務の叔父から理学療法士・作業療法士の養成施設ができることを聞き「リハビリテーションとは何だろう?」と興味をもち、作業療法士への道に進みました。卒業後は病院で作業療法士として12年働いた後、大学でヨーロッパのコミュニティケアを学び、北欧やイギリスでフィールドワークにも取り組みました。
作業療法士として大切なことは?
作業療法士の仕事は、対象者が望む日常生活活動、趣味活動、仕事などに従事できるよう、考え、支援することです。対象者の障害や能力を科学的に理解するのはもちろん、対象者の日々の困りごとを理解する能力、思いを共感する能力、寄り添う姿勢が大切だと思います。
関西医療大学での4年間で学んでほしいことは?
対象者と接するには教養や一般常識も必要です。そうした裾野の上に専門的な知識や技術が加わることで、人としての幅ができ、専門性も積み上げられます。また、患者さんの多くは、自分の祖父母と同じ年代の方です。その人たちが生きてきた時代や生活について理解できるように、社会の仕組みや人の生活といった基本的なことも学んでほしいと思います。
- 伊藤 恵美
- 教授
- Emi Ito
作業療法士は、病院や施設だけではなく、教育者や研究者となる道や、海外や国際機関で働くことができます。さまざまな可能性が広がっている分野なので、自分が活躍できる道を見つけてほしいと思います。