関西医療大学

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2016年01月06日

平成28年度 年頭のあいさつ

皆さん、あけましておめでとう御座います。

この正月、異常に暖かくもう春かなと思うくらいでした。
何かいい夢をみられたでしょうか?

新年(平成二十八年)は「丙申」(ひのえのさる)の年、季節感では秋、昨年から養ってきたものが実を結ぶ年とされています。

我が家には、正月そうそう嵐山から猿がやってきて、裏庭を走りまわりました。おめでたいのかも知れませんが、はなはだありがた迷惑というのが、私の心境です。

昨年度は、学校教育法改正によるさまざまな改革が国より打ち出されました。人口激減の中にある日本経済を支え、「地方創生」に有能な人材育成のため、大学の改革と、その「質」の保証が求められていると言えます。
私立大学は、国の高等教育のうち、大学数でいえば77%、学士課程の学生数でいえば74%と、その大部分を担っています。しかし、国の私立学校振興助成は、法的には「二分の一以内」を補助することができるとなっていますが、助成法制定後40年を経た現在も10%から伸びてはおりません。また、国公立大学とくらべると、その助成は「十二分の一」と言われており、私学への補助のあり方が問われています。
また、国公立大学とは異なり、私立大学は独自の「建学の精神」を持ち、その学風の中で多様な知識・技能を持つ「分厚い中間層」を育成することが、その使命とされています。
これまでと違い、閉ざされた象牙の塔、「学問の府」というより、開かれた「実践的な職業教育を行う」大学の役割が求められ、時代の大学像は変化しています。

さて、そのような現状の中、本学にとっては、本年は正に認証評価の年であり、その「質」を問われる年であります。前回の認証評価以来この7年間の"成果と反省"の上に立って、本学発展の基礎固めをする年でもあります。

建学の精神、「社会に役立つ道に生きぬく奉仕の精神」とクレドに示した教育の理念と信条(「忠恕」「修己治人」)を創意工夫して、具現化することが求められています。そのため、平成30年の学園創立60周年に向けて、中長期計画とそれを具体化するためのAction Planを作成し、更なる本学発展の道を切り拓く、ターニングポイントの年と言えます。

昨年来、高大接続改革、高校での学力の三要素、大学入試改革が答申され、大学における三P(ディプロマポリシー、カリキュラムポリシー、アドミッションポリシー)の明確化が求められました。すなわち、今日までの偏差値教育を廃止して、学力の三要素、すなわち、「知識・技能」「知識・技能の活用力」「主体性・多様性・協働性」について、高等学校で習うべき教育をどう評価・判定するのか、しっかり、アドミッションポリシーに書き込むことが強調されました。このアドミッションポリシー を作成するには、まずディプロマポリシーを作り、その達成のための課程に基づくカリキュラムを構築すること、すなわち、カリキュラムポリシーの作成ですが、その上で、これらを達成できる人材を如何にもとめるのかを明示して、アドミッションポリシートして公開し、入試選考のよりどころとするころが求められています。要するに、「大学には三つの接続問題がある」と言われます。一つ目は「高校から大学への接続」、二つ目は「大学から社会への接続」、そして、最後は「大学内部におけるカリキュラムの接続」です。

こうした論議の中、国立大学では、機能分化として三分野に分けられ、人文社会分野教育の見直しが提唱されました。一方、私立大学に対しては、都市部と地方の偏りの是正を目的に定員管理の規制強化が制度化され、これからの受験者減少を考えると、中小の私立大学にとっては、更に厳しい現状といえます。

これからの2018年問題、2020年問題、2030年問題と続く、少子高齢化、人口減少化時代に向け、あらゆる知恵と手段を講じて、本学も社会に役立ち、生きぬく道を模索しなければなりません。これまでの上昇気流はもはやなく、真っ向から吹き下ろす風に独自にたち向かわなければなりません。

話は変わりますが、昨年ノーベル生理学・医学賞を受賞した北里研究所顧問の大村智氏は、「こうしたいと思ったら、絶対絶えず求め続けるべき。求め続けなければ授かることできはない。そして、分かれ道があったら、楽な方でなく、難しい道を選びなさい。苦労して失敗しても爽やかな感がのこる」の人生の姿勢を述べています。

勿論、大学の経営、存続のためには大きな失敗は許されません。しかし、本学の教職員の皆さんの失敗を恐れない「チャレンジ精神」を最大限に受け入れつつ、失敗の影響を最小限に止めること、その舵取りによる最適化が、学長としての私の使命ではないかと思っています。

最後に、もう一言、

「強いものが生き残るのではなく、変化するものが生き残る」

とは、チャールズ・ダーウィンの言葉です。

皆さん、こらから始まる入試シーズンを乗り越え、全学が協調して新たなパラダイム・シフトに兆戦できるよう、どうか今年も宜しくお願い申し上げます。

平成二十八年一月六日

関西医療大学 学長
吉田 宗平(よしだ そうへい)
  • 担当科目(学部)
    生命倫理
  • 大学院担当科目
    神経内科学概論、内科・神経内科学特論講義・演習
  • 学位
    医学博士
  • 取得資格
    認定内科医、日本神経学会専門医・指導医、東洋医学会専門医、NPO日本ハーブ振興会Profeesional Adviser of Herb (PHA)資格
  • 大学院(研究指導内容)
    鍼灸への神経学的アプローチとその治効機序の科学的解明、脈診の科学化とノジェらによる耳介療法の治療・診断システムの構築、ハーブ・アロマテラピーの研究