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関西医療大学では、学内の研究活動促進のための研究交流会が開催されており、教員が自身の研究を紹介しています。令和4年7月28日に第2回目となる研究交流会が開催され、学内の研究グループである理学療法学ユニットの福本助教が「運動練習効果の臨界点を超えるためのトレーニング方法の開発 -運動イメージと運動練習を併用した運動学習効果の検討-」と題し、現在の研究について紹介を行いました。

今回の発表で福本助教は、内的環境の変化(運動麻痺など)に対して、比較的早く運動スキル(正しいか誤っているかは別として)が適応される神経疾患の患者へのトレーニング方法の開発として、運動練習と運動イメージの併用効果の検討について報告しました。漠然と運動練習を反復するだけでは、運動技能向上に天井効果があるため、一定以上の運動練習効果を得るのが難しいとされています。そこで、反復した運動練習の試行間間隔に運動イメージを挿入することは、精緻化仮説の観点から有用である可能性があり、運動練習と運動イメージの併用はこれまでも多くの研究者によって検討されてきました。しかし、運動イメージは条件を整えなければ効果を認めにくく(福本ら: 2015, 関西理学)、事前練習の充分な確保や(Fukumoto et al: 2016, J. Phys. Ther. Sci; Fukumoto et al: 2017, J Nov Physiother; 福本ら: 2019, 臨床神経生理学)、運動イメージ戦略の考慮(Fukumoto et al: 2022, Sci Rep(Impress))などが必要です。その他にも効果的な運動イメージにつながる細条件も明らかとなり、運動イメージの神経基盤が精緻化仮説を支持することも分かったため(Fukumoto et al: 2021, Neurosci Lett; Fukumoto et al: 2022, Neuroimage Reports)、運動イメージの質を追求した中で運動練習との併用効果を検討するに至りました。現在も研究は進行中ですが、併用効果は運動練習効果を加速させるか、効率的な運動技能獲得に至る傾向を認め、その機序は脊髄レベルでの神経基盤から説明できる可能性があります。