本学作業療法学科 中森崇 助教の論文2編が英文誌 Cureus に掲載されました
中森崇さんは本学保健医療学部作業療法学科の教員で,脳卒中後の上肢機能障害に対する電気刺激療法の臨床応用に関する研究に取り組んでいます。
1つ目の論文
Nakamori T, Kitayama S, Hamamachi K. Finger-Equipped Electrode Electrical Stimulation for Severe Upper-Limb Paresis in the Acute Phase of Stroke: A Retrospective Case Series. Cureus. 2025;17(10): e93838. doi:10.7759/cureus.93838
脳卒中の急性期に重度上肢麻痺を呈する患者では,自発的な運動が困難なため,患者の運動意図に合わせた電気刺激療法を十分に適用できないという課題がありました。そこで本研究では,作業療法士の指に装着した電極を用いて,患者の「動かそうとする意図」に合わせて電気刺激を行う手法(Finger-Equipped Electrode Electrical Stimulation:FEE-ES)に着目しました。
本研究では,急性期脳卒中の重度上肢麻痺患者6名を対象に,FEE-ESの実現可能性および安全性を検討しました。その結果,上肢運動機能は1か月で有意に改善し,一部の症例では臨床的に意味のある回復が認められました。さらに追跡評価が可能であった4名すべてにおいて,発症2か月後も機能改善が確認されました。また,痙縮や皮膚障害などの有害事象は認められず,本手法が急性期から重度上肢麻痺患者に対して安全に実施可能であることが示されました。
本研究成果は,急性期に重度上肢麻痺を呈する脳卒中患者に対する上肢リハビリテーション戦略の可能性を示すものであり,今後の臨床実践や研究への応用が期待されます。

2つ目の論文
Nakamori T. Practice of Integrated Volitional Control Electrical Stimulation in a Patient With Post-stroke Upper Limb Paresis and Difficulty in Thumb Opposition: A Case Report. Cureus. 2026; 18(1): e101830. doi:10.7759/cureus.101830
本研究は,脳卒中後に上肢麻痺を呈し,親指の対立運動が困難となった患者に対して,随意運動介助型電気刺激(Integrated Volitional Control Electrical Stimulation:IVES)を用いた課題指向型リハビリテーションの効果を検討した症例報告です。
親指は物をつかむ際に重要な役割を担っていますが,脳卒中による手の麻痺では親指を十分に広げることができず,把持動作が困難となることがあります。そこで本研究では,電極配置を工夫したIVESを用いて介入を行いました。IVESは,患者自身の筋活動に同期して電気刺激を行うことで,「動かそうとする意図」と運動出力を結び付けることを特徴としています。本症例では,指の伸展と同時に親指が広がるよう電極配置を工夫し,実際の生活動作を想定した課題練習を継続的に実施しました。その結果,上肢運動機能や手指巧緻性が改善し,親指対立を伴う把持動作が可能となりました。
