FACULTY
/GRADUATE SCHOOL
Blog 関西医療大学NOW!

 鍼灸学ユニットの坂口です。産後の腰痛は、産婦のQOLを低下させるだけではなく、育児にも支障を来すケースがあり、子育て支援の観点からも、その改善が重要とされています。 産後の腰痛には、通常ケアとして、骨盤ベルト装着や腰痛エクササイズが行われています。一方、鍼治療は、逆子、つわり、腰痛、むくみ、乳汁分泌困難など周産期のトラブル(マイナートラブル)に対して効果を上げてきましたが、腰痛について産後早期から活用した報告はありません。
  そこで私たちは、妊娠後期に腰痛を訴え、産後も継続した女性に対し、産後入院中に通常ケアである骨盤ベルトを装着する群(骨盤ベルト単独群)と通常ケアに鍼治療を加えた併用群(はり治療併用群)に分け、産後の腰痛に対する鍼治療の効果をランダム化比較試験という研究デザインで検証しています。研究は2022年12月から始まっていますが、予定した症例数に達成するまで現在も継続中です。  
 2020年12月から約2ヵ月間行った小規模な先行研究では、はり治療併用群に腰痛の軽減がみられました(グラフ)。
  現在進行中の研究では、入院中に鍼治療を2回行い、その効果を痛みの程度と、腰痛による日常生活の困難感で検討し、産後2週間の健診まで追跡しています。 
 産後の腰痛といってもその訴える部位は多岐に及ぶことから、本研究でのはり治療は、大きく4つのタイプに分類し、さらに、マイナートラブルにも対応しています(図)。 大学が主体となり、産科病院(医師、看護師、助産師)、職能団体所属の鍼灸師の協力を得て、目標症例数まで研究を続け、その成果を関連学会や学会雑誌に発表し、鍼灸治療のチカラを国民に示していきたいと考えています。