教員ブログ保健医療学部 臨床検査学科

「管理」は重要です。

2018年07月27日

臨床検査学科 上田一仁

 まさに、この教員ブログを書いている日(平成30730日)に同年727日に公布され、121日から施行される、医療法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令(平成30年厚生労働省令第93号)の全貌が明らかとなりました。その中の「改正の趣旨」のひとつとして「病院、診療所又は助産所における検体検査の精度の確保に係る基準」が策定されました。具体的には「精度管理責任者の配置」、「標準作業書、作業日誌等の整備」と「内部精度管理の実施、外部精度管理調査の受検及び適切な研修の実施」などが盛り込まれています。ちょうど今年度の前期には臨床検査学科の2年生・3年生を対象に、「臨床検査の精度保証」の講義を担当させていただいていました。詳細は割愛させていただきますが、講義を終えて幾ばくかの時間が経った頃、学生さんから「先生!何で、精度管理が必要なん?」とのご質問を受けました。「そこか!」と感じながら、講義の方法に問題があったのか?と自己反省をした次第です。われわれ臨床検査技師は常に「迅速・正確」に検査結果を臨床側へ報告する義務を持っています。正しくは精度と真度を合わせた「精確度」の高い検査結果を迅速に報告しなければいけません。そのために「内部・外部精度管理」の実施は重要なツールの一つとなります。簡単な事例を提示して、学生さんに説明したところ「ふ~ん、そやな。」とご納得いただけた...はずです。今回の法改正を受け、これまで確実な「精度管理」を実施していなかった施設ではあたふたとされておられるかもしれません。分析装置や測定試薬の不具合、原因不明の偶発誤差や検査過誤の検出などに加えて検体採取から結果報告までを含む、適切な「臨床検査の精度保証」の確立は、「検査」を生業とするわれわれの責務です。少なくとも本学の卒業生は、胸を張って「精確度の高い検査結果」を臨床側へ報告できる、患者様第一義主義の自覚を持った臨床検査技師になっていただきたいと願います。そんな、知識と技術と人柄を持った、患者様に優しい臨床検査技師の形成に少しでも役に立てればと考えています。

 2018年夏。酷暑、猛暑、台風、地震、豪雨などの異常気象が地球の不具合を訴えているのかもしれません。「地球診療所」で行われる「検査」があるのなら、それが精確度の高いもので、可能ならば「発症予防」にもつながるものであればいいなと考えます。高学年の皆さんにとっては大事な夏休みとなります。体調「管理」・自己「管理」を徹底し有意義なお時間をお過ごし下さい。


第64回臨床検査技師国家試験 第2期生全員合格!

2018年06月15日

臨床検査学科 上北 宏美

梅雨がやってきて、どんよりとした気持ちになる季節となりましたが、入学から3ヵ月弱が経過した新入生を含め、学生の皆さんの活き活きと頑張っている姿を良く拝見し、微笑ましく感じています。
さて、この春卒業した臨床検査学科の第2期生は、第64回臨床検査技師国家試験にて見事に全員合格しました。厚生労働省の発表によりますと、全国の合格率は79.3%で、そのうち新卒者の合格率は90.5%でした。合格率100%の学校は全国で12校あり、近畿圏では本学が唯一の100%でした。また、卒業後の進路については、病院が64%、検査・検診センターが6%、治験などの企業が23%、進学が2%でした。
このようなすばらしい結果となったのは、学生たちの努力の賜物です。しかし、全員がはじめから順調に歩んでいたわけではなく、様々な工夫をして諦めずにがんばった結果であると感じています。
具体的な学習方法の例としては、授業後も大学に残り、1人ではなく複数人で学習に取り組むスタイルが挙げられます。このスタイルでは、分からない事は学生同士で教え合いながら学習を進めていきます。自分が学習したことを誰かに説明することで知識を定着させていったのが学習効果を向上させた一因であると考えています。
学習の定着率を示すラーニングピラミッドは正にその通りかと思います。講義を聴いたり、教科書を読んで勉強するよりも、学習したことを誰かに教えることの方がはるかに定着させることができます。学生たちはこれを体現したので、すばらしい結果につながりました。
第2期生は様々な道に進みましたが、この経験は社会においても必ず役立つことと思います。1人でも多くの学生が自分の考えを持ち、自分の意志で臨床検査技師の道を邁進できるよう願っています。


パソコンに慣れていますか?

2018年05月11日


臨床検査学科  荒川 裕也

 新学期が始まり、早1か月が経ちました。関西医療大学は、今年度より作業療法学科が新設され、新たな校舎も設立、食堂リニューアル、カフェ開店と新しいものがたくさん増えました。とてもきれいで都会的な印象のある校舎ですので、興味のある方は是非見学に来てください。
 そして、臨床検査学科もまた、今年度より定員を10名増やし、新たなスタートをきりました。私はこの1年生対象に今年から「東洋医学の基礎・導入教育」という授業を行っています。東洋医学に関しては門外漢ですので、私が担当しているのは導入教育の方です。この授業は、大学生として基本的なこと(例えば、礼儀作法やメールの書き方など)を複数人の教員で指導するという授業ですが、私はパソコンの基本的な使い方やパソコンを用いたプレゼンテーションなどを担当しています。
 パソコンの技術は、臨床検査技師にはあまり必要無いのではないのかとお思いの方が、もしかしたらおられるかもしれませんが、実はそれは間違いです。病院での検査機器は全てコンピュータ制御されているため、ある程度パソコンを使えないと検査部では何もできません。しかし、現状では大学4年生でもパソコンに慣れていない学生が多いと感じています。私の学生時代はちょうどスマートフォンが出始めていた頃で、まだ昔の携帯電話(ガラケー)を使っている人も多く、インターネットは使えましたが不便なため、調べものをしたい時やレポートを書く時はパソコンを使っていました。一方、今の学生はスマートフォンで多くのことができるようになってしまったため、パソコンの必要性が少なくなってきているのではないでしょうか。
 臨床検査技師に限らず、多くの職業において、パソコンは必須アイテムとなっています。もし、学生の皆さんの中で一度もパソコンに触れたことの無い人がいたら、是非パソコンを積極的に活用してください。きっと、将来の役に立つはずです。


 


夢に向かって、一歩一歩、コツコツと!

2018年02月09日


保健医療学部臨床検査学科 戸田静男

 世界の人口は、2011年で約70億人だそうです。今年2018年では、もっと増えているでしょう。人間の細胞の数はいくらでしょうか?成人では、約60兆個の細胞があります。とてつもない数の細胞があります!ほとんどの細胞には、核がありその細胞の機能をコントロールしています。また、ミトコンドリアやリソソームのような細胞小器官とよばれる様々な役割を持った部品があります。細胞の集団は、組織とよばれています。組織は単なる細胞の集団ではなく、それぞれの機能を持っています。たとえば、筋細胞の集団は筋組織で、体の運動機能をつかさどっています。ただし、筋肉は勝手に動きません。多くの筋肉は神経の指示によって動きます。また、神経の指示によって筋肉は動きをコントロールし停止します。このように、組織や細胞は協調性を以て働いています。細胞をヒトにたとえるなら、人体は人間社会といえるかもしれません。
 細胞は、最初から大人ではなく、赤ちゃんの時期があって成熟していき、立派な細胞になって活躍してくれます。そして、細胞によっては老化していき除去されるものもあります。青年期は、細胞の活性が一番盛んな時です。未来、将来に向けてどのような人生を過ごすのか?また、社会にどのように貢献、役割を担って協調していくのか?夢多き年代ですね!悩みもあると思いますが、楽しみでもありますね!いずれにせよ、夢に向かって、一歩一歩、コツコツと努力してゆけば、夢は叶います!大いに飛躍してください!


細胞診断学を学び始める人達へ伝えたいこと

2017年12月22日


保健医療学部 臨床検査学科  矢野 恵子

 臨床検査の中に細胞診検査が取り入れられて半世紀が過ぎました。細胞診検査は患者さんの体をほとんど傷つけることなく採取された検体を主な対象とすることから、がんのスクリーニング検査として発展し、現在では、内視鏡下に病変部を擦過する、しこりを針で吸引するなど、積極的に採取された検体に対しても幅広く実施され、がん診療に欠かせない検査となっています。細胞診断は、初めに標本をスクリーニングして異常な細胞を見つけ出す細胞検査士と、見つけ出された細胞を最終的に判断する細胞診専門医によって行われており、スクリーニングを担う細胞検査士の責任は重大です。細胞検査士は日本臨床細胞学会にて資格認定され、認定試験は臨床検査技師資格を有し一定の条件を満たした者が受験することができます。受験資格に関しては細胞検査士会ホームページに詳細が記載されていますので参照して下さい。本学は日本臨床細胞学会に全国で8番目の大学内の細胞検査士養成課程として認定され、平成30年度入学生より臨床検査技師と細胞検査士のダブルライセンスが取得可能な大学となりました。そこで、細胞診を学び細胞検査士を目指すにはどのような心構えが必要であるか、私の考えを皆さんに伝えたいと思います。
 細胞診検査は、光学顕微鏡下でスライドガラスに塗抹された細胞を観察し、良悪性、感染症、炎症の程度などについて判断するものです。そして、細胞診検査の主たる目的である悪性細胞に関しては、悪性への変化は細胞の核の中にある遺伝子に傷がつくことがきっかけとして始まり、たくさんの変化が積み重なることにより発がんし、それぞれの段階で形態学的な変化がみられることが知られています。細胞診検査により、現在の状況を判定することで、患者さんに適切な治療を提供することができます。細胞検査士は最前線で、がん、あるいは前がん病変に罹患した患者さんのために働くことができる大変やりがいのある仕事です。細胞検査士が細胞診標本の隅々まで観察し、個々の細胞を判定する際の基準となる形態学的な所見は、細胞集団においては、構成する細胞の大小不同性の有無、配列の不規則性の有無、辺縁の所見などで、単個細胞では、大型かどうか、奇妙な形をしているか、核と細胞質の割合はどうか、細胞質の染色性に変化はあるかなどとされており、とても多くの項目があります。さらに、正常の細胞所見に近い悪性細胞があるかと思えば、悪性細胞のような良性細胞も存在し、そのように例外的な形態を示す細胞の判定には、幅広い知識と多くの経験が必要となります。初学者はその複雑さに混乱するのではなく、ひとつひとつがどのような病理学的変化に基づくものであるのか、確認しながら学習を進めることが肝要です。そうすることにより、ひとつの症例から多くの事柄を学び、自らの中に積み重ねることができるのです。すなわち、細胞診断学は、生物学、生化学、生理学、人体の構造、血液学、免疫学、病理学総論、病理診断学、病理検査学などをしっかりと学習し、応用して初めてその理解が深まる学問なのです。
 細胞診断学は、複雑で奥深くゆえに魅力的な学問です。個々の細胞の中にある小宇宙に思いを馳せながら、"異常な所見を拾い上げるだけの細胞検査士"ではなく、"細胞を思考する細胞検査士"を目指してください。 




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