2020年08月17日
感染経路を正しく理解する
「飛沫感染」、「接触感染」。このコロナ渦において、マスコミを通じて度々耳にする感染経路を表す用語です。細菌やウイルスなどの病原微生物がヒトへ感染するためには、必ずこれらの「経路」を通ってやってくること、そして、病原体の種類により「経路」は様々ということです。ということは、その病原体に合わせた「経路」を断てば、理論上、感染は起こらないことになります。よって、この経路を1人1人が意識して断つことにより、新たな感染者を生まなくなります。
そもそも、新型コロナウイルスに限らず、感染経路にはどのような種類があるでしょうか。汎用されている表現としては、上記を除くと、「空気感染」、「経口感染」、「経皮感染」、「性行為感染」などがあります。経口感染は一般に腸管で感染を起こす病原体の感染経路となります。飲食物に付着した病原体により食中毒を起こすケースはこれに該当します。鶏の刺身を喫食後のカンピロバクター腸炎を例に挙げると、そもそもこの菌はヒトに存在しておらず、鶏などの腸管に存在しています。よって、未加熱の鶏肉には付着している可能性があり、それを摂取することにより感染症を起こします。すなわち、感染症はこれら経路に関わった故に発生するので、患者さんの行動歴・生活背景にほぼ答えがあります。
さて、今回の新型コロナウイルスは、皆さんご存じの通り「飛沫感染」と「接触感染」が経路となります。「飛沫感染」は、感染者の飛沫(唾液を含む)の吸入により感染します。この感染症のやっかいなとこは、発症前の患者でも相手を感染させるだけのウイルス量を飛沫に含んでいることや無症状の感染者が存在することです。経路の遮断はシンプルで、全員がマスクをして飛沫を飛ばさなければ良いだけです。また、マスクをしていても、細かい飛沫などは多少なり排出されるかもしれませんので、こまめな換気も重要となってきます。すなわち、極度の密集をさけたうえで「マスク+換気」を実践すれば感染のリスクは極めて低い状況となります(屋外でソーシャルディスタンスを保てている場合は、熱中症対策を優先し、適宜マスクを外しても可)。
次に「接触感染」です。「接触感染」は他の経路に比べると少し広い意味合いをもつ用語ですが、今回のケースで表すと、鼻、口、目の付近にウイルスで汚染された手をこするなどして、結果的にウイルスを吸入し感染に至る経路となります。普段、皆さんは自分の顔にどれだけ手を当てているか意識しているでしょうか。これを機に是非意識してみてください。勝手な推測で申し訳ありませんが、恐ろしいほど、触っていますよ…。もちろん、こまめな手洗いまたはアルコールで手を常に清潔に保つことは、この対策のゴールドスタンダードに変わりありませんが、究極の対策は「手洗いしていない状況では手で顔を絶対に触らないこと」です。是非意識して実践してみてください。
新型コロナウイルスの流行は未だ終わりが見えない状況ですが、マスコミでwithコロナと表現されているように、しばらくはうまく共存し、何とかこの難局を全員で乗り切りたいと思います。学生さんの皆さんも大変な状況が続きますが、一緒に頑張っていきましょう!