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Blog 関西医療大学NOW!

臨床検査学科 鍵弥朋子

私が学生の頃、授業というのは先生が黒板と教科書を使われることが多かった。スライド投影をされる先生は、授業時間の後半などに投影の時間をまとめてとって、写真などをリバーサルフィルム(マウント)で投影した。このリバーサルマウント、準備が必要で、順番通りに並べられたスライドホルダーから順番に取り出し、丸く放射状に並んだラック(なんという名前だったか…)に上下逆さまに入れていく。左右逆に入れると左右反転した像となるので注意が必要だ。だいたい前の席に座った学生の仕事だった。そして投影は真っ暗な教室で行う。プロジェクターの性能が良くなかったからだ、と今思う。真っ暗な教室なので、スライド投影時は手元の教科書やノートは暗くて見えない。
卒業後、学会発表をするときもこのリバーサルマウントを使った。1演題に6スライドまで、などという決まりもあった。2枚の写真を1枚のスライドで示したいときは、2枚のリバーサルマウントを分解し、切り貼りして1枚の手作りマウントを作った。職人技だといって教授がやってみせてくれた。
あれから20年、いま、授業や発表はパソコンのプレゼンテーションソフトでなされることが多い。写真もフィルムからデジタルになった。これなら1枚のスライドに2枚の写真を示すことも、説明文を加えることも、矢印を入れることも容易にできる。左右反転になることはない。プロジェクターの性能が向上し、部屋を真っ暗にしなくてもいい。そのおかげで聴衆は手元が十分明るいのでメモが取れる。以前は、白背景スライドは字がはっきり見えないので色の背景に白文字が多かったが、いまは白背景の方がはっきりとして好まれる。容易にスライド入り資料を作り配布することができる。すごい進歩、そして変化だ。
ただ、聞く方の技術は確実に落ちた。手元の資料で満足し、メモをとらない。耳から得た重要な情報を書き留められない。学生は、スライドを印刷した資料が欲しいと要求が多い。配布資料がないならノートにメモればええやん、とこちらは思うのだが、それがおっくうらしい。卒業後、仕事を教えてもらう時に、資料をください、資料がないから覚えられません、とは言えない。学生時代から訓練して、聞き留めたことをメモする技術を身に着けてください。きっと役に立つ時が来ます。



リバーサルマウントとホルダー