関西医療大学

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理学療法ユニットの東藤真理奈です。

この度、私は金沢大学大学院にて脳卒中患者の1つの症状として現れる“痙縮”を神経生理学的に評価する方法をテーマに博士号を取得しました。今回その第一歩となる研究成果についてご紹介します。
痙縮とは、脳から誤った信号が筋に送られその結果、筋肉が勝手に硬くなり手足が不自由になる症状のことを言います。この痙縮を診断・判定する手段として誘発筋電図を用いてF波という波形を計測する方法があります。正常な筋肉からF波を計測すると、様々な形を有する(多様性が高い)波形が記録できますが、痙縮を起こしている筋肉の場合には特有の(多様性が低い)波形が記録される場合があります。つまり、F波の波形の形を分析することで痙縮を診断できる可能性がありますが、妥当性なF波の波形分析方法は確立されていないのが現状です。
そこで、F波の多様性を「加算平均処理による振幅値の変化量」を使って比較・検討し、さらにヒストグラムを用いることで、可視化する試みをしました。

その結果、ヒストグラムから健康な人のF波の多様性には、5つのTypeが存在している可能性が示唆されました(Todo M et al., J. Neurosci. Methods. 369:109474(2022))。
本研究で得られた結果は、今後F波の波形分析をする一つの基準となり、さらにこのType分類は、今後F波の波形分析方法の発展の一助になると考えています。F波の多様性を分析できれば、脳血管障害によって思った通りに運動できない場合や、老化によって手足の筋力低下の場合等で客観的評価ができるようになると考えています。
今後、今回得られた健康な人の波形Typeが、脳卒中片麻痺患者の痙縮筋のF波とどのように異なるのかを検討予定です。さらに将来的には、金沢大学大学院 淺井仁教授、信州大学大学院 花岡正明特任教授、本学大学院の鈴木俊明教授との共同研究でF波の自動解析ソフトを作成する準備を進めています。

F波の波形解析の分野は、近年大変注目を浴びていますが、我々のような詳細な分析は未だありません。我々の研究が最先端として今後注目されるよう1つ1つ抱いた疑問と向き合い解決しながら、より的確な治療を提供するための評価指標として活用していきたいと考えています。