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Blog 関西医療大学NOW!

 作業療法ユニットの藤井啓介です。私が最近取り組んでいる研究を紹介します。
 高齢者の死亡リスクと最も関連が強いのは、喫煙、飲酒、肥満、身体不活動ではなく孤独・孤立であるといわれています(Holt-Lunstad et al., 2010; 2015)。2018年に英国は、孤独が社会に与える経済的損失は約3540億円であることを報告し、世界で初めて孤独担当大臣を配備しました。そして、日本は昨今のコロナ禍の状況も鑑みて、世界で二番目に「孤独・孤立担当大臣」を配備しており、我が国においても高齢期の孤独・孤立は喫緊の課題であることが分かります。
 日常において生活行為が適切に行えずネガティブな経験をしている状態を“作業機能障害”といいます(Teraoka et al., 2015)。作業機能障害は予防作業療法分野において主要な健康問題として世界的に認識されています。私は、作業機能障害と社会的孤立の関連性を明らかにするために、約4000名の大規模研究を実施し、“作業機能障害”が高齢者の社会的孤立と関連することを確認しました(Fujii et al.,2021; 図1)。本研究の知見より、例えば、日常生活におけるネガティブな経験(=作業機能障害)が継続的に生じる場合、ひとは参加している社会的コミュニティーから離れる原因となり、最終的には社会的孤立につながるといった仮説が形成できると考えています。今後は横断研究のみならず、縦断研究による知見も社会に公表できればと取り組んでいます。また、現在、「孤独・孤立予防を目指した作業機能障害に焦点をあてた介護予防プログラムの効果検証」といった研究課題で若手研究(科研費)を獲得していますので、観察研究に留まらず介入研究を実施し、社会的孤立や孤独といった社会的問題に貢献できるように取り組んでいきたいと考えています。

Fujii K, Fujii Y, Kubo Y, Tateoka K, Liu J, Nagata K, Wakayama S, Okura T. Association between Occupational Dysfunction and Social Isolation in Japanese Older Adults: A Cross-Sectional Study. Int. J. Environ. Res. Public Health. 2021 Jun 21;18(12):6648. doi: 10. 3390/ijerph18126648.