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Blog 関西医療大学NOW!

 作業療法学ユニットの備前です。運動学習は、パソコンのタイピングが速くなったり、テレビゲームが上手になったりと私たちの生活に密接に関わっています。では、運動学習が進んでいる最中は、脳はどのように変化しているのでしょうか。近年、生体情報という人の体から発する情報を解析し、人々の生活を豊かにする試みが増えてきています。そこで、私は、生体情報の中でも脳機能情報を解析し、運動学習中の脳の変化について検討しました。
 脳機能情報を得るために近赤外分光計測法(NIRS)を用いました。NIRSは計測が比較的簡便であり、放射線や薬品などを使わずに計測が可能なため安全性の高い測定機器です。
 運動学習課題を7回連続で実施し、運動学習実施中にNIRS計測することで、運動学習が進む最中の脳機能解析を実施しました。その結果、運動学習が進むにつれて前頭前野領域の脳活動が減少しました。これは、運動学習が進むと前頭前野をあまり使用しなくても運動が可能となることを反映しています。運動が上手になると、あまり1つのことに集中しなくても複数のことを同時並行にできるようになることを経験することがあるかと思います。前頭前野の活動が減少することにより相対的に他の脳領域に活動が配分されていることを反映しています。私たちの脳はダイナミックに脳機能を変化させながら運動が上達していきます。今後も引き続き、運動学習に伴う脳機能変化を明らかにしていき、作業療法・リハビリテーションに応用していきたいと考えています。