令和7年度
腰椎分離症におけるランニング時の下部腰椎運動と身体機能の関係
浅香 孝至
腰椎の関節突起間部の疲労骨折である腰椎分離症(分離症)は、特に成長期のスポーツ選手に多いスポーツ腰部障害の代表です。過去の報告では、分離症を有するスポーツ選手はランニング時に腰痛があるとされ、ランニング動作が分離症の発症に関連する可能性が指摘されています。しかし、実際に分離症を有するスポーツ選手はランニング時にどのような腰部の動きをしているかを調べた研究はありません。そこで本研究は、分離症を有するスポーツ選手と腰部・下肢に障害のないスポーツ選手(対照群)のランニング時の腰部運動を調査するとともに身体機能を評価し、両者の関係を調査しました。対象は18歳以下の分離症患者21人と腰部下肢に障害のない16人です。腰部(第3腰椎と第1仙椎)に慣性計測装置を装着し、低速および高速の2条件でランニングを行い、腰部の運動を測定しました。身体機能は体幹および下肢の柔軟性と体幹安定性を評価しました。
その結果、分離症患者はランニング速度が速くなると腰部の伸展および回旋の変化が大きくなりました。特に高速でのランニングでは分離症患者は対照群に比べ腰部回旋の変化が大きい結果となりました。また、身体機能では分離症患者は対照群に比べ股関節伸展、胸郭回旋、体幹安定性の低下を認め、体幹安定性の低下は高速でのランニング時の腰部回旋と相関関係を認めました。
これらの結果から、分離症患者はランニング速度が上昇すると腰部の運動が大きくなり、腰部への負担が増加することが示唆されました。分離症患者にはランニング動作の評価と、介入として腹筋群を中心とした体幹安定性を高めるトレーニングが重要だと考えられます。
未病を多層構造として捉える ― 身体の感覚と社会資源の役割 ―
尾下 功
令和7年度に修士課程を修了した尾下です。私は、東洋医学における「未病」概念を、生理・心理・社会の多層構造として実証的に検討することを目的とした探索的横断研究を行いました。
未病とは、明確な疾病に至る前段階にありながら心身のバランスが揺らいでいる状態を指す概念であり、『黄帝内経』に示される「治未病」の思想に基づいています。しかし、この概念は臨床的には広く用いられているものの、現代科学的視点での構造的検証は十分に行われていません。そこで本研究では、未病指標は身体内部感覚の精度(内受容精度)の影響を強く受けるのではないかという仮説のもと、未病を身体内部感覚、その主観的気づき、生活習慣を含む統合的健康状態として捉え、その関連要因を検討しました。
対象は成人男女31名とし、未病指標として五臓スコアおよび虚実スコアを用いました。身体内部感覚は、心拍検出課題による内受容精度(IAcc)で測定し、主観的気づきは内受容感覚への気づきの多次元的評価(MAIA)の一部項目で評価しました。さらに、生活習慣(睡眠・活動・食・社会)を含め、未病指標との関連を多面的に検討しました。

その結果、IAccと未病指標との間に有意な関連は認められませんでした。一方、MAIAの下位尺度のうち、情動変化への気づきを示す項目が未病指標の独立した関連因子として抽出されました。また、社会的つながりや役割感を含む社会資源因子も未病指標と有意に関連し、年齢・BMIで調整後も独立した寄与因子であることが確認されました。
以上の結果から、未病は単なる身体内部信号の精度によって規定されるものではなく、情動への気づきや社会資源因子を含む多層的構造として理解される可能性が示唆されました。すなわち、未病は生理−心理−社会モデルの枠組みで再解釈し得る概念であり、東洋医学の理論と現代健康科学を結びつける枠組みの一端を示すものと考えています。
本研究は探索的段階にあり、対象者数が限られているという制約はありますが、未病概念の構造的理解に向けた第一段階として一定の意義を有すると考えています。今後は多様式内受容と客観的行動・睡眠指標を併用した縦断研究により、生理―感受―行動―社会の関連機構を検証し、個別化された「整え方」へと発展させたいと考えています。
内側広筋からF波を記録するための有効な刺激部位の検討
桂木 響希
令和7年度に修士課程を修了した桂木響希と申します。大学生時の臨床実習において、変形性膝関節症(膝OA)の患者さんを担当したことが、本研究の出発点でした。その方だけでなく、膝OA患者さんの多くに内側広筋の著明な筋力低下がみられ、「なぜ膝OAでは内側広筋がこれほど弱くなるのだろうか」という素朴な疑問を抱くようになりました。この疑問をきっかけに先行研究を調べる中で、腫れなどにより脊髄レベルで運動ニューロンの興奮性が反射性に抑制されるarthrogenicmuscle inhibition(AMI)の概念を知りました。つまり、内側広筋の筋力低下には、筋そのものの問題だけでなく、このような神経機能の変化が関与している可能性があると知りました。
ここで「この脊髄レベルでの抑制を、臨床で客観的に評価することはできるのだろうか」という問いが生じました。私は、大学生時から脊髄前角細胞の興奮性を反映するとされるF波について取り組んできました。もし内側広筋からF波を記録することができれば、将来的に膝OA患者における内側広筋の神経機能やAMIとの関連について、より踏み込んだ検討が可能になるのではないかと考えました。
しかし、先行研究を調べた限りでは、内側広筋からのF波記録に関する報告は見受けられず、どの部位を刺激すれば安定してF波が記録できるのかといった基礎的知見も十分に知ることができませんでした。そこで本研究では、まず健常者を対象として、内側広筋からF波を記録するための有効な刺激部位を検討しました。
具体的には、大腿内側の遠位側から20%、30%、40%地点の3地点を設定し、どの部位で最も安定してF波が記録されるのかを比較しました(図参照)。測定には誘発筋電計Neuropack S3を用いました。
その結果、20%、30%地点において、F波の記録性が高い傾向が認められました。一方で、最も近位である40%地点ではF波が記録しづらく、皮下脂肪組織の割合が比較的多いことなどが影響し、電気刺激や筋電図の記録が相対的に困難であった可能性が考えられました。
本研究は、内側広筋のF波記録に関する基礎的検討にとどまるものですが、今後はさらに刺激部位を細分化した検討を行うことが必要であると考えられます。そして、実際に膝OA患者を対象とした評価へと発展させていきたいと考えています。

術中迅速体腔液細胞診に有用である迅速Liquid Based Cytology (LBC)
標本作製方法の確立に向けた予備的検討
双和 宏樹

塗抹細胞数の変化(迅速パパニコロウ染色、対物レンズの倍率×20)
令和7年度に修士課程を修了した双和宏樹と申します。私が行った研究について紹介いたします。
術中迅速体腔液細胞診は、手術中に術野で確認された体腔液、あるいは開胸/開腹直後に横隔膜直下およびダグラス窩を生理的食塩水にて洗浄し得られる液中の悪性細胞の有無の確認を目的に行われる検査です。悪性細胞を認めた場合は、術式の変更、体腔内への抗癌剤散布などの選択が必要であるため、本検査には正確性と迅速性が求められます。従来、引きガラス法による薄層塗抹標本が行われており、標本作製手順で細胞剥離がある程度生じるため、悪性細胞の少ない症例では偽陰性化する可能性があり、また、検鏡範囲が広いため、結果報告に時間を要する症例が存在し、それらの影響が少ない標本作製方法の確立が望まれます。Liquid Based Cytology (以下、LBC法)を用いることにより、効率的に悪性細胞が検出可能となり検鏡範囲も縮小されますが、LBC法の標準作業手順は従来法に比較して長時間を要することが課題です。そこで私は、術中迅速体腔液細胞診に使用可能なLBC標本作製法の確立を目的に、標本作製手順において特に時間を有する固定時間および塗抹時間の短縮限界を検討しました。
検討方法は、悪性細胞を認めた体腔液の残余検体と未固定腫瘍組織細切洗浄検体を対象とし、BDサイトリッチ法を用いて、固定時間を30分(標準)、5分、3分、1分、10秒、塗抹時間を10分(標準)、5分、3分、1分、10秒としてLBC標本を作製し、1標本あたり5視野を無作為に選び合計悪性細胞数50個を満たす最短時間を求めました。
結果は、LBC法において固定時間3分、塗抹時間3分までの短縮が可能であることが示唆されました。
今後は、他の標本作製工程の時間短縮を検討し、より標本作製時間が短く、質の高い標本作製が可能な迅速LBC法の確立をし、実臨床への運用を検討したいと考えております。
崑崙への経穴刺激理学療法(促通手技)がヒラメ筋の脊髄神経機能に影響を与える
千代 ひなた

令和7年度に修士課程を修了した千代ひなたと申します。皆さんは経穴刺激理学療法をご存じでしょうか。経穴刺激理学療法とは、東洋医学における経穴(いわゆる“ツボ”)に対して指で圧刺激を行い、遠隔にある筋の緊張を促通したり抑制したりする理学療法手技の一つです。
臨床現場では、術後早期にギプス固定や装具が外せず、患部周囲に直接介入できないことがあります。この期間、いかに廃用性筋萎縮の進行を予防するかが理学療法場面では重要視されており、ここで経穴刺激理学療法の力が発揮されるのではないかと考えています。
本研究では、下腿三頭筋の構成筋の一つであるヒラメ筋に着目しました。ヒラメ筋は姿勢保持に重要な筋であり、安静臥床により脊髄前角細胞の興奮性変化を生じ、廃用性筋萎縮が進行しやすいとされています。
今回、ヒラメ筋上を走行する足太陽膀胱経と呼ばれる経絡に存在する“崑崙”に対し、ヒラメ筋に向かって斜め方向への圧刺激を加える経穴刺激理学療法促通手技を行い、脊髄前角細胞の興奮性変化をH波(振幅H/M比)を指標として検討しました。
結果として、安静時の脊髄前角細胞の興奮性が低い人ほど、経穴刺激理学療法促通手技直後に興奮性がより増大する可能性が示唆されました。
以上より、経穴刺激理学療法促通手技は一律に脊髄前角細胞の興奮性を高めるのではなく、安静時の興奮性が低い対象者において、より効果が期待できる可能性があります。
今後は経穴刺激理学療法促通手技の神経生理学的機序について、より詳細に理解を深めていきたいと考えています。
八邪(下都)への鍼刺激が脊髄前角細胞の興奮性と小指の動きに与える影響について
東内 あすか

私たちの手の細かな動きは、脳や脊髄といった神経のネットワークによって支えられています。しかし、脳血管障害や上肢ジストニアなどの病気によってこのネットワークがうまく機能しなくなると、手や指を思い通りに動かすことが難しくなります。こうした手指の運動障害に対し、鍼灸治療では古くから手の甲にある「八邪(はちじゃ)」と呼ばれる経穴(ツボ)が活用されてきました。私は以前、この八邪の一つである「下都(げと)」に鍼(はり)治療をおこなって、小指の動きがスムーズになった患者さんを経験しました。では、なぜ下都に鍼刺激をすると指が動きやすくなるのでしょうか。その効果を客観的に評価するため、脊髄神経の活動に焦点を当てて研究を行いました。健康な成人を対象に、下都への鍼刺激が脊髄前角細胞の興奮性と小指の動きにどのような影響を与えるかを検討しました。実験では、下都への鍼刺激前後に、小指を外側に広げる運動が何回できるかと、小指を動かす神経に関連する脊髄前角細胞の興奮性を「F波」という反応で記録しました。

実験の結果を分析したところ、脊髄前角細胞の興奮性には全員に共通する明らかな変化は見られませんでした。下都への鍼刺激中に脊髄前角細胞の興奮性がわずかに活発になった人もいれば、ほとんど変化が見られない人もいるなど、結果には個人差が認められました。しかし、小指の運動回数が増えた人では、脊髄前角細胞の興奮性が増加する傾向が見られ、下都への鍼刺激が脊髄前角細胞の興奮性と小指の運動に何らかの影響を及ぼした可能性が考えられました。今後も、検討を続けることで、手指のリハビリテーションに鍼治療を役立てる知見を見いだしていきたいと思います。

ノルディックウォーク指導における注意焦点が歩行指標に与える影響
中塚 さくら
令和7年度に修士課程を修了した中塚さくらと申します。皆さんは、スポーツの動きを学ぶとき、「地面や道具など‶身体の外〟に意識を向ける指導(外的焦点)」と「足や腕など〝身体そのもの〟に意識を向ける指導(内的焦点)」のどちらがパフォーマンス向上につながると考えますか?私がこの問いに向き合うきっかけとなったのが、北欧発祥のスポーツであるノルディックウォーク(NW)でした。NWは2本のポールを使って歩く運動で、歩幅の増大、歩行速度が向上することが知られています。しかし、民間の指導者が多いスポーツであるため、「どのような言葉かけで指導すれば動きが良くなるのか」という点は、まだ十分に整理されていません。
そこで私は、運動学習の理論である注意焦点(外的焦点/内的焦点)に着目し、指導の違いがNWの歩行にどのような影響を与えるのかを検証しました。NWはポールの使い方が歩き方に大きく影響するスポーツで、「ポールをどこに突くか」「どのように体重を乗せるか」といった指導が重要になります。研究では、男子大学生21名を外的指導群と内的指導群に分け、指導前後で10mのNWを実施し、歩行パフォーマンス(歩行時間・速度・歩数・歩幅)、体幹の動きの大きさを示す左右・前後・上下方向の加速度Root Mean Square値(RMS値)、指示の理解度を測定しました。

その結果、歩行時間の短縮、歩行速度の増加、歩幅の増大など、全体として歩行効率は向上しました。ただし、外的指導と内的指導の間に有意な差はみられませんでした。若年健常者はもともと歩行能力が高く、注意焦点の違いが速度や歩幅といった指標には現れにくかった可能性があります。
一方で、左右方向の動きにだけ指導の違いが現れました。左右方向の動きの大きさ(RMS値)は指導後に増えましたが、その増え方は外的指導の方が小さく、内的指導の方が大きくなっていました。左右方向の動きは、NW特有の体幹のひねりの大きさを反映するとされ、外的指導では動作が自然にまとまり、必要以上に大きく動きすぎないように働いたと考えられます。一方、内的指導では身体の動きを意識しすぎることで、左右の動きが大きくなった可能性があります。
今回の研究は若年男性を対象にした短期的な指導でしたが、ここから広がる可能性は大きいと感じています。高齢者や病気を持つ人への応用、長期間の指導効果の検証、基準となる動作の統一、サンプル数の拡大、指導言語の整理など、まだまだ探求できるテーマがたくさんあります。
大学院での研究は、こうした「身近な疑問」を自分の手で確かめ、社会に役立つ形にしていくプロセスです。私自身、この研究を通して、言葉が動きを変えるという面白さや、科学的に検証することの奥深さを実感しました。もし皆さんの中に、「自分の興味を研究にしてみたい」という思いあるなら、大学院での学びはきっと大きな力になると思います。
臨床の“当たり前”を科学で検証する
-灸刺激条件の標準化に向けた研究-
西野 龍一優秀論文賞!
令和7年度に修士課程を修了した西野です。鍼治療は、顔面神経麻痺、慢性疼痛、頭痛、脳卒中など多くの疾患に対して有効性が報告されており、各種診療ガイドラインにおいても肯定的に評価されています。一方で、灸治療については、単独での臨床研究が限られており、明確な推奨に至っていないのが現状です。その背景には、灸刺激の条件が十分に標準化されていないという課題があります。
特に臨床現場で重要となる「灸をいつ取り除くのか」という施灸条件については、これまで科学的な検討がほとんど行われてきませんでした。実際の臨床では、被施灸者の主観的な熱感を目安に取り除くタイミングが判断されることが多く、その結果、刺激量に個人差が生じている可能性が考えられます。
そこで本研究では、炭化艾を用いた台座灸を使用し、八邪穴(Ex-UE9)への施灸を行い、灸を取り除くタイミングの違いが温熱感覚および皮膚表面温度(以下、皮膚温)にどのような影響を与えるのかを検討しました。


その結果、台座灸を皮膚温が43℃に達した時点で取り除いた条件と、最高燃焼温度に達した時点で取り除いた条件との間で、温熱感覚および皮膚温に大きな差は認められませんでした。一方で、温熱感覚の分布には両条件間で異なる傾向がみられ、これは使用した台座灸の燃焼温度特性が影響した可能性が考えられました。
また、皮膚温は両条件ともに施灸直後に一過性の低下を示し、その後回復する傾向が確認されました。この変化は施灸側だけでなく非施灸側にも認められ、局所刺激が中枢を介して全身性の生理反応を引き起こす可能性が示唆されました。
さらに、末梢循環機能の違いに着目すると、健常者群では皮膚温の経時的変化が明瞭であったのに対し、末梢循環不良者群では(最高燃焼温度に達する時点で取り除いた条件において)明確な変化は認められませんでした。
以上の結果から、八邪穴への灸刺激においては、灸を取り除くタイミングの違いが温熱感覚や皮膚温に大きな影響を及ぼさない可能性が示されました。また、非施灸側への波及効果や、個人の末梢循環機能が刺激に対する反応性に関与する可能性が示唆されました。
本研究は、臨床で日常的に行われている施灸操作を科学的に検証した点に特徴があります。今後は、壮数や刺激時間の増加、評価方法のさらなる改善を通じて、施灸条件と生理的反応との関連をより詳細に明らかにしていく必要があります。
第1・第2中足骨間の圧迫刺激が下腿三頭筋に及ぼす影響
前坂 宣明
令和7年度に修士課程を修了しました前坂宣明と申します。私は鍼灸師およびアスレティックトレーナーの資格を有し、長年にわたり育成年代選手を中心にスポーツ現場でのコンディショニングに携わってきました。スポーツ現場では、運動誘発性筋痙攣(Exercise Associated Muscle Cramp:EAMC)が頻繁に発生し、とりわけ下腿三頭筋に生じる「こむら返り」は、競技中のパフォーマンスに大きな影響を及ぼします。
一般的な対応としては、ストレッチや水分・電解質補給が行われていますが、近年では第1・第2中足骨間に存在する深腓骨神経へのブロック注射によって、こむら返りが改善したとの報告もみられるようになりました。しかし、注射による介入は育成年代選手への適用が難しく、また非侵襲的かつ簡便に実施できる代替アプローチに関する研究報告はほとんどありません。そこで本研究では、スポーツ現場でも安全に実施可能な「圧迫刺激」に着目し、第1・第2中足骨間への圧迫刺激が、運動誘発性筋痙攣の予防・改善に寄与する可能性について検討しました。筋痙攣の発症には筋緊張状態が関与すると考えられていることから、本研究では筋硬度を主要な評価指標として研究を進めました。


実験では、両足でのカーフレイズ負荷運動を実施し、運動前後で下腿三頭筋の筋硬度を測定しました。その後、片側足(圧迫側)の第1・第2中足骨間に2分間の圧迫刺激を行い、対側足(非圧迫側)は同時間安静を保持した上で、再度筋硬度を測定し解析を行いました。
その結果、運動負荷後には両側の下腿三頭筋筋硬度が上昇しましたが、2分間の経過後にはいずれの側でも筋硬度の低下が認められました。
特に、圧迫刺激を行った圧迫側の下腿三頭筋では、安静側と比較して筋硬度が有意に低下することが明らかとなりました。
本研究は、スポーツ現場で日常的に行われている徒手的介入が、神経学的メカニズムを介して筋緊張調整に影響を及ぼす可能性を示唆するものです。
今後は、神経生理学的指標、血流指標、自律神経活動などを組み合わせることで、より多角的な検討を行い、スポーツ現場に還元可能な知見の構築を目指していきたいと考えています。